ハリーハウゼンは『タイタンの戦い』(1981)以来、映画の現場から遠ざかっていますが、講演や執筆活動で活躍しています。『猿人ジョー・ヤング』のリメイク作品である『マイティ・ジョー』(1998)にセリフ付きでカメオ出演したりと元気なところを見せてくれているのは嬉しい。

ピクサーの『モンスターズ・インク』(2001)に出てくる超高級寿司屋の名前が「ハリーハウゼン」だったり、TV映画『モンスターアイランド』(2004)ではハリーハウゼンという名前の博士(演じているのは何とアダム・ウエスト!)が登場します。さらにはティム・バートン監督の『コープスブライド』(2005)で主人公がハリーハウゼン製のピアノを演奏していたりと、21世紀になった今でもハリーハウゼンの名前をあちこちで見かけるのは、いかに多くの映画監督や関係者に影響を与えたかという事の証であり、ファンにとっては嬉しいことです。

ハリーハウゼンは自分が動かしたモデルが解体されるのを非常に悲しんだそうです。親しい友人を失ったような気持ちになるのだという。単に物を動かすだけではなく、人形に「演技」をさせたハリーハウゼンのストップモーション。ハリーハウゼン作品が好きな人ならこの意味を理解する事が出来ると思う。安易にCGの技術に手を出す事をせず、職人として自分の道を究めたハリーハウゼン。見事な引き際で、キャリアに泥を塗る事も無く、彼は生ける伝説となりました。彼の作品がこれからも新しいファンを獲得し、世代を越えてその偉業がこれからも語り継がれていくことは間違いないでしょう。

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