全編リドサウルス大暴れ!という感じのこの映画。ハリーハウゼンのアニメーションによって動かされるリドサウルスの動きは素晴らしく、低予算のために実写の街との合成シーンが多いのですが、ほとんど違和感はありません。街を破壊するシーンなどは大変見応えがある仕上がりですが、それ以外はこれといって見どころが無いのもまた事実。最後は放射性アイソトープを打ち込まれて終わり。めでたしめでたしといった感じでTHE END。リドサウルスの悲鳴がちょっと悲しいラストシーン。
しかしラストシーンの燃え上がる木製のローラーコースターを破壊しながら、アイソトープ弾を打ち込まれ力尽きるリドサウルスはなかなか見応えがあり、デビュー作でハリーハウゼンのアニメートのテクニックはほとんど完成の域に達しているといってもいいのではないでしょうか。
放射性アイソトープを打つ狙撃手を、若き日のリー・バン・クリーフが演じているのですが・・・帽子と髭が無いので全く解らない。
費用がかからないフロント・プロジェクション(リア・プロジェクションが半透過のスクリーンの裏側から映像を投写しその手前に役者や人形を配置して撮影する合成方法であるのに対してフロント・プロジェクションは手前側から投写する)という手法を多用し、最終的にこの映画の製作費は20万ドルという当時でも非常に少ない予算で作られた作品です。
500万ドル以上稼ぎ出す大ヒットになったのですが、この作品以降、映画界ではモデルアニメーションは低予算で作れるものと誤認され、怪獣映画は低予算のものが主流になるという弊害が生まれることになってしましました。
核実験により生物が巨大化する、あるいは眠っていた巨大生物が目覚める、というアイデアは当時のSF作家やクリエーターたちの想像力を刺激し、この時代には数多くの類似したモンスター映画が作られることになりました。