元々この映画は、ゴールデン・ゲート・ブリッジを巨大なタコが襲うという発想から作られたので、あくまでもこのシーンが映画のメイン。これを見せるために他の全てのシーンが後から追加されたようなものでしょう。
ゴールデン・ゲート・ブリッジの破壊シーンではサンフランシスコの市会議員に撮影の協力を要請したが、脚本を見せると、「破壊されるのは困る」という理由で許可がおりなかった。イメージダウンになるとでも思ったのでしょうか。
堂々と撮影ができないので、パン屋のトラックの荷台にカメラを固定して橋を行き来し、合成用の映像を撮影したらしい。映画公開後も特にクレームなどは無かったようです。
関係者が誰も見なかっただけかもしれない・・・
次は停泊している船舶の向こう側に1本の足だけが海面から上がってくるシーン。個人的には一番好きな場面で、実写の船との合成で怪物の大きさが際立って見える。
実写との合成といえば、次にでてくる湾沿いの道路との合成シーン。合成がバレバレなのは仕方が無いとしても、巨大なタコが海から上がって来てすぐそこまで迫ってきているにも関わらず、道路を走る自動車が逃げる様子もなく普通に走行している。この不自然さは誰が見てもすぐに気がつくと思われる、ある意味必見のシーン。
そして、陸に上がってきたタコを火炎放射器による攻撃で海へと追い返す。
日本人の誰もがたこ焼きにして食べられないものかと連想するこのシーンの後、タコは爆弾によって以外と簡単に殺されてしまう。
ラストシーン。
三人は食事の席で怪物撃退を報じるテレビのニュース番組を見ている。そして再会を約束し、それぞれが自分の仕事に戻ることになる。
驚いたのは、ジョイスとマシューズが結婚してハッピーエンドかと思いきや、ジョイスは男よりも学問の道を選ぶ。
「教授の言う通り、彼女は新種の女性だな」とマシューズ。
好色艦長の下半身の魚雷は不発に終わったのだろうか・・・
ハリーハウゼンが制作に関わっていなかったら二度と日の目を見ることがなかったであろうこの作品。撮影後、タコの足の骨組みは『恐竜100万年』の恐竜たちのシッポへと再利用されたそうです。
ハリーハウゼンの初期の仕事として見ると、結構楽しいB級映画でした。