結局、劇中でイーマが自分から攻撃を仕掛けた場面は一度もなく、人間側の攻撃から自分を守るために必死で振り払い、ひたすら逃げていただけだった。映画全編を通じてイーマに同情する人が誰もいなったってどういう事でしょう?
なにやら格言めいた台詞でこの映画は終わるのですが、結局、人間の身勝手で地球に連れてこられた何の罪もない生き物を、よってたかってなぶり殺しにしただけで、誰一人反省する者もいない。
「いつの時代も進歩への道はとてつもなく険しい。」って( ̄. ̄;)
この結末に違和感を感じた人も多いのではないでしょうか。これではやはりB級映画の域を出られない。
この映画はラストシーンからも解るように『キングコング』(1933)へのオマージュといえる作品です。このハリーハウゼン版キングコングは、やはりストップモーションのファン以外にはちょっと見ていて辛いかも知れない。
ハリーハウゼンは怪物が都市を破壊する映画を撮り続けてきたのですが、このような発展性のない映画を作るのが嫌になったと言っています。
その後、彼は想像力を駆使したファンタジー映画を製作したいと考えるようになり、数年前から自分自身で描きためていたデッサンをもとに『シンドバット七回目の航海』が製作されることになります。
イーマのモデルの骨格は分解され、『シンドバット七回目の航海』のサイクロプスに流用されたそうです。