秘境で太古の生物を発見し、都会に連れ帰って見世物にしようとしたが檻から逃げ出してしまい、街は大パニック!というストーリーはモンスター映画の定番で何の新鮮味も無いものですが、西部劇と合体させた事により、言葉では言い表せない独特な雰囲気を持つ映画に仕上がった。こんな身近に恐竜が生き残っている秘境があったとは、新鮮というか、無理があるというかは微妙なところですが・・・

個人的な感想は、なかなか良くできているかなぁ・・・といった程度ですが、西部劇と恐竜の存在が上手く融合していて、あり得ないと解っていても、「実際に恐竜が現れたらこんな感じなのかも」と感じさせてくれる上質の映画だと思います。

しかし、ラストは気になる。炎でグワンジを退治したのはいいのだが、どう考えても教会の損害賠償で、サーカス団は破産でしょう。そればかりか恐竜に食われた遺族に対しても責任があるのだから主役の二人も結婚してワイオミングの牧場どころじゃないはず。

あと、劇中やたらと強調されていた「呪い」っていったい何だったのか。そんな事を言ってる本人のジプシーのお婆さん達がグワンジを逃がしたりしなければ、こんな大惨事にはならなかったのだから、結局呪いなど何も無かったという事になります。

作品自体は名作と呼ぶにはちょっと抵抗があるが、エオヒップスの登場シーンや、カウボーイが投げ縄で恐竜を捕獲するシーン、そしてラストの大聖堂の恐竜など印象的な名場面がかなり多い。

人を連れ去る翼竜、肉食恐竜とトリケラトプスの戦い、モンスターと象の格闘などは過去のハリーハウゼン作品でも描かれていたものばかりですが、まあファンとしては何回見ても嬉しいものだし、一回切りにしておくには惜しい過去の名場面が蘇った事は、それで良しとしましょう。

うーむ、これほど名場面が多いのに、素直にこれは名作だ!と言えないのは何故でしょう・・・? やはり、ストーリーの貧困さと、名場面が特撮シーンに集約されているのが原因でしょうか。アイデアは素晴らしいと思うのですが、何だかちぐはぐな印象だったし、下手なコント入れすぎじゃないのか。最後の観客が逃げまどうシーンなどは、グワンジが観客を追いかけるというよりも、わざわざグワンジが行く方向に逃げているようにしか見えないし、中にはグワンジを追い越して走っている奴もいるほどだ!

『恐竜グワンジ』は前作『恐竜100万年』ほどヒットしなかった。同じ恐竜を題材にしており、映画としての完成度も高い(と思う)にもかかわらず、だ。
考えられる理由はただ一つ!

お色気がゼロだから。

確かに映画のポスターを比較したら、世間の大人がどっちにお金払うか想像つくよなぁ・・・

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