その後、ジム・ダンフォースが、シャッターを切る時にわざとモデルを揺らしたり、多重露光をする事によって擬似的に画面にブレをつけてフリッカーを極力抑えるなどの工夫をし、非常に完成度の高いストップモーションを作り上げています。驚異的なこの映像は『恐竜時代』(1970)で見る事ができます。

『帝国の逆襲』(1980)でフィル・ティペットがアニメートしたトーントーンは、一コマ撮影している間にモーターで移動させ、擬似的にブレを作り出しているます。フリッカーは最小限に抑えられているものの、やはりストップモーションと他の特撮技術と併用すると、作品全体を見た時の違和感は免れません。

やがて、モデルをコンピューター制御で移動させ、それを一コマずつ撮影する技術が生まれた。この技術はストップモーションに対し、ゴーモーションと呼ばれ、流れるように自然な映像を作ることが可能になったのですが、手の感覚で作られたストップモーション独特の味わいが好きなファンからはあまり歓迎されませんでした。

1993年、コンピュータ・グラフィックス・イメージ(CGI)によって『ジュラシック・パーク』に登場した恐竜たちのインパクトにより、ストップモーションが完全に過去の技術となってしまったことを実感させられる事になります。

現在では、CGIに取って代わられてしまっていますが、ストップモーション独特の手作り感が好きなファンは多く、ストップモーション全盛時に作られた作品には時代を超えて認められる名作や古典と呼ばれる作品も数多く存在します。これらの映画を観ると特撮に必要なのはCGIだけではないという事が良く解ります。

この時代ならではの職人技の手作り感と想像力にあふれた愛すべき映画がたくさんあります。CGIの技術を超えたアイデアと、特撮魂あふれる情熱で製作された映画を一人でも多くの人に楽しんでもらいたいと思います。

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