コウモリグモとアメーバ

イブ・メルキオール監督作品『巨大アメーバの惑星』(1959)に登場。出番は少なかったのだが、強烈な印象を残した。
火星探査に降り立った乗組員達を様々なモンスターが襲う、という実にシンプルな映画。コウモリグモだけで映画史に名を残しているのだろうか。この映画、子供の頃繰り返しテレビで放送されていました。とてもワクワクしながら見ていて、今でも結構好きな作品です。マット画に赤のフィルターをかけただけで火星を表現しているというのが何とも・・・ものすごいチープ感が漂う作品。

火星探検中に奇妙な大木を見つけた隊員はサンプルを採取しようとそれをナイフで傷つける。すると、その巨大な植物が悲鳴と共にいきなり動き出す。

「生きている!」

木と思われたものは、実は巨大なコウモリグモの足で、その足よりもはるか上にある胴体部分に隊員達の誰もが気づかなかったのだ。

要するに、普通の目線では認識できないほど巨大な生物だという事を表現したいのだろうが、いくら何でもこれは不自然。さすがにこれにはつっこみたくなるが、このコウモリグモのインパクトでそんな事はすぐに忘れてしまうのです。奇妙な声(これが不気味)で威嚇しながら、操演で蜘蛛のようにふわふわと歩くその姿は今でも脳裏に焼きつている。

隊員曰く、
「キングコングの兄貴だな」って、全然違うだろう(笑)。

そういえば、このコウモリグモは何かの本でチュパカブラの写真として紹介されていた事がありました・・・すぐ正体がばれるのに。

翌日、ボートを使って湖の向こうへ探検に出かけた隊員たちを襲うのが、邦題にもある巨大なアメーバ。単細胞生物なのにぐるぐる回る目玉が付いているその姿はコウモリグモほどではないが、なかなかインパクトがあった。火星が舞台だから映画を見ている間は、ほとんど画面が真っ赤。それで誤魔化されているのか、チープながらも独特の世界見を楽しめる映画になっている・・・と思う。
赤い画面と登場するモンスター(火星人含む)の目玉がやたらと印象に残る映画だ。

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