アンドロイド

『タイムトラベラーズ』(1964)に出てきた未来世界のアンドロイド。
イブ・メルキオールが『巨大アメーバの惑星』(1959)に続き監督した作品で、実験の失敗により偶然に発見してしまった『時の門』を通り抜け、100年後の世界へと足を踏み入れてしまった科学者たちの冒険を描いている。いや、冒険ではなく未来人のゴタゴタに巻き込まれただけだったか・・・

未来世界でミュータント(核で醜く変形している)に襲われた科学者たちが洞窟に逃げ込むと、ミュータントは洞窟を恐れて近づこうとしない。この洞窟は核戦争を生き残った未来の人々(普通の人たち)の居住区への入り口だったのだ。彼らは科学者たちを快く迎え入れてくれるのだが、そこで登場するのが未来の人々と共に働くアンドロイド。
未来の人々は核戦争によって荒廃した地球を捨てて、アンドロイドとともに別の惑星へ行くためのロケットを製造していたのだった。

最初の登場シーンでアンドロイドの顔のアップが画面にどどーん、と映る。絶対に開かないであろうその丸い口と、胸に書かれた番号は、見方によっては滑稽に映るかもしれないが、その造形は一度見たら絶対に忘れることができない。

出発の直前にミュータントに襲われ、ロケットも破壊されてしまった彼らは『時の門』を再度通り抜けて現代に戻って来るのだが、時間の流れを混乱させてしまい元の世界では時間がゆっくり流れている。彼らは過去の自分達を発見するが、時間の流れが違うためにほとんど静止して見える。ここでの1秒は彼らにとっては数ヶ月の歳月が流れることになる。ここに留まっていればすぐに死んでしまうと悟った彼らは、実験途中で10万年後にセットされたままの真っ暗な『時の門』の中へと入っていく。彼らは最後には何処に行き着くのだろうか・・・

この映画は70年代には繰り返し再放送されていて、TV放送時のタイトルは『原始怪人対未来怪人』だったらしいが、このタイトルは記憶にありません。

この作品の特徴は手品のトリックを利用した撮影を多用している事。壊れたアンドロイドの首を付け替えて、そのアンドロイドがまた動き出す過程が、編集される事無くワンカットで撮影されているのには驚き。もちろん特撮もあるのだが、それ以上にトリック撮影が印象に残る映画だ。

時空を超えて別世界へ行くというテーマは子供の頃に何回見てもワクワクしたものです。男の子はこういうの大好きでしょう。全体的にコミカルな作風だったが、時間の裂け目に落ち込んでしまうというタイムパラドックスを描いたエンディングはかなりシビアで印象的だった。そして、それよりも印象に残っているのがアンドロイドの顔、というわけです。

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