ジョン

ソ連で製作された『火を噴く惑星』(1961)に登場するアメリカ製ロボット

金星探査に向かったソ連の有人宇宙船シリウス、ヴェガ、カペラ。目的地に到着寸前、カペラは隕石に衝突してしまう。残されたシリウスとヴェガの乗組員たちはロボットのジョンと共に金星に降り立つ。しかしそこで彼らを待ち受けていたものは、想像を絶する大爆笑の世界であった・・・

最初にこ断っておきますが、大爆笑の世界というのはこの映画を見ている見客にとっての世界で、映画はいたって真面目、シリアスな作品です。大型でどっしりとしたジョンのデザインはいかにもロボットらしく迫力満点。
アメリカ製ロボットのジョンの第一の特徴は敬語で命令しないと動いてくれないというところ。どうしてこういう設定なのかは不明だが、これって何かアメリカの文化に対する揶揄、というか皮肉を含んだメッセージでもあるのでしょうか?

このロボットの大ボケぶりはすさまじく、体調を崩した隊員が「薬を飲ませてください」と敬語で命令すると、いきなりヘルメットを開けてしまうのには苦笑。金星って空気あったのか・・・

それにしても、この映画の金星の描写はひどい。着ぐるみの金星恐竜はピョンピョンはねまわっているし(どうして普通に歩かないのだ?)、水中のシーンではカメが泳いでいるのが確認できる。海や山の風景はどう見ても地球そのもの。一番の脱力シーンは、水陸両用車で海底から上がってきた隊員たちが海岸に座って焚き火をする場面。やはり金星には空気があったのか。じゃあ、どうして宇宙服を着ているんだ? ヘルメットの意味ないじゃん。有毒ガスがあるとか、酸素が薄いとかいう設定ならば特におかしな場面では無いという事なのか?

映画の最後の方では、恐竜やトカゲのような生物に混ざって背ビレを付けたカメが登場する。よくトカゲやイグアナにヒレをつけて恐竜に見せている映画はあるが、カメって・・・こんなの初めて見た。上の一番右の画像で確認できます。

奇跡的にDVDが発売されているのだが、本当に真面目に作っているのか疑いたくなる作品だ。しかし、この映画を見た人ならば、ジョンが間違いなくSF映画史に名を残すロボットであるという事は理解できると思います・・・たぶん。

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