ヘクター

スタンリー・ドーネン監督の『スペース・サタン』(1980)に登場したロボット。
スタンリー・ドーネン監督というえば、『雨に唄えば』(1952)や『シャレード』(1963)で知られる名監督だが、この『スペース・サタン』はというと、ファラ・フォーセットのヌードが最大の見どころと言われるような作品。この人SF映画を撮るような監督さんじゃないよなぁ・・・でも、SF好きにはそれなりに楽しめる作品だと思う。個人的には結構好きな映画。

二人の男女(カーク・ダグラスとファラ・フォーセット)が任務についている土星の第3衛星のタイタン基地に大尉を名乗る一人の男(ハーヴェイ・カイテル)がやって来る。実は大尉は指名手配中の危険人物で、最新型のロボット『ヘクター』を使い、基地の乗っ取りを計画していた。やがて意識を持ち始めたロボットが暴走を始め、基地内は異常な事態に陥る。

登場人物が三人だけで、舞台はタイタン基地内に限定されている。いかにも密室劇を思わせる設定だが、ストーリーにサスペンス的な要素は無く、ちょっと拍子抜け。この作品って、やっぱり『エイリアン』(1979)の影響を受けているのでしょうか? エイリアンをロボットに置き換えただけのような気がする。

映画の出来はともかく、この悪の手先ヘクターは、かなり不気味なロボットで迫力満点の仕上がりだ。配線むき出しでいかにも機械的。しかも頭部が異常に小さく、胴体から生えているような機械の目は昆虫を思わせる動きでかなり怖い。一度破壊された後に自ら人間の血液を体内に取り込み再生するシーンや、ついには大尉を自分の一部にしてしまう描写は出色の出来だと思う。

ファラ・フォーセットのヌードがこの映画の見どころと言ったが、いつの間にか脱いでましたって感じで、ほんの胸チラ程度で実際は大した事ありません。やはり最大の見どころは、自我に目覚めてファラ・フォーセットをつけ狙うロボットのヘクターでしょう。

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