マックス

メル・ギブソンを世界的スターにした作品が『マッドマックス』(1979)だ。その後『マッドマックス2』(1981)、『マッドマックス/サンダードーム』(1985)とシリーズは続く。

第一作目では、家族の復讐に燃える警察官を演じていた。カーチェイス&バイオレンスという単純明快な映画の見せ方だが、メル・ギブソンが初々しくて、なおかつ格好よかった。

二作目ではSF色が強くなり、砂漠と化した世界で石油の争奪戦が行われ、マックスは用心棒として雇われる。この作品でのマックスはマカロニ・ウエスタンの賞金稼ぎを思わせる。まさに近未来西部劇といった雰囲気で、車を馬に置き換えればほとんどそのまま西部劇と言ってもいい。この作品はシリーズ中最も完成度がく、モヒカン刈りの暴走族や、荒廃した住居などの近未来の描写は、それ以降の作品に多大な影響を与え、数多くの模倣とも言える映画が作られた。悪党のボス、ヒューマンガスの格好には思わず笑ってしまったが・・・。この作品を見て日本人がすぐに思い浮かべるのは、劇画『北斗の拳』でしょう。

三作目では、車を失ったマックスが砂漠を彷徨い、ある町へとたどり着く。マックスの優しい人間性が見られるこの作品はなかなかの良作だと思うのだが、前の二作品が好きな人には物足りない作品かもしれない。

メル・ギブソンが作り上げたのは「非情で陰のあるアウトロー」という新しいヒーロー像。黒い車を駆り、黒い革の服を身にまとったマックスは惚れ惚れするほどカッコよかった。

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