『不思議な世界の物語』(1962)では監督を務めました。
ローレンス・ハーヴェイ、イヴェット・ミミュー、ラス・タンブリンなど役者陣も充実。アカデミー衣装デザイン賞を受賞。他には、撮影賞、音楽(編曲賞)、美術監督・装置賞にノミネートされた。そしてハリーハウゼンの後継者とも言えるジム・ダンフォースが特撮を担当し、味のあるストップモーション・アニメを見せてくれています。後期パル作品の代表作とも言えるほど完成度の高い映画だと思います。
1964年には『ラオ博士の7つの顔』を監督。
7つの顔を持つ不思議な中国人ラオ博士が、アメリカの小さな町に現れサーカスを開催する。町の住民たちと織りなすファンタジックな世界を描いた作品で、ジム・ダンフォースのアニメーション技術が光る。アカデミー特殊効果賞にノミネートされました。

1975年には30年代のパルプ・マガジンのヒーローを映画化した『ドクサベージの大冒険 』を製作しますが、1980年に心臓発作で帰らぬ人となり、結局『ドクサベージの大冒険 』が彼の遺作となってしまいました。

「特撮の魔術師」、「SF映画の父」と呼ばれたジョージ・パルですが、晩年は1940年代から50年代にかけての活躍が嘘であるかのように失速し、完全に時代に取り残されてしまった感があります。先駆者が時代に取り残されるというのは特撮の世界ではよくある事ですが、ジョージ・パルもその運命から逃れることは出来なかったという事でしょうか・・・。しかし、ジョージ・パルの残した作品は現在でも十分通用すると思うし、SFファンは決して彼の偉業を忘れる事は無いでしょう。

後期のパル作品は、名作『不思議な世界の物語』を含め、現在日本でDVDなどで鑑賞できる作品はありません。自分で所有している古いビデオを鑑賞する事以外では、これらの作品に触れる機会はほとんどありませんでした。DVD化されたら、パル作品は全部買うけどなぁ・・・残念。

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