最後に原作との主な違いを上げてみます。

原作が書かれたのが1898年、まだ19世紀でした。それ故に、地球人が火星人に応戦する武器は大砲や軍艦などであり、攻撃がまともに命中すればウォー・マシンを破壊することも可能だったのです。
映画が製作されたのが1953年。戦車や大砲はもちろん核兵器などがすでに存在する時代。武器は近代兵器だが、核攻撃をまともに受けてもウォー・マシンは無傷。

火星人のウォー・マシンは原作では長い脚のような物を持ち、歩き回る機械といったデザインになっているが、映画版は空飛ぶ円盤タイプの宇宙船になっている。
ウォー・マシンのイメージはスピルバーグ版の方が原作のイメージに近い。

映画には火星人による吸血シーンが無い。
火星人の侵略目的が地球人を食料にする事であるという恐るべき事実が判明するこのシーン。原作で最も怖ろしい描写なので、映画でも再現して欲しかったのですが、映画版の宇宙人を見ると納得。とても血など吸いそうにない。あまりにも惨いシーンなのでこれは映像化しなくて正解だったかもしれない。また、映画では、火星人の侵略目的は明らかにされていません。オープニングで、移住という言葉を使っているので、地球が水や空気に富んでいるので火星人にも住みやすい環境なのだ・・・くらいに考えて映画を見ている人がほとんどかもしれません。

この映画が原作のファンにどう映るのかは人それぞれでしょうが、映画そのものの出来は素晴らしく、特撮映画の歴史に残る古典である事は間違いありません。

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