恋愛手帳(1940)

二人の求婚者の間で揺れ動く女性を描いたラブロマンス。この作品で、ジンジャー・ロジャーズはアカデミー賞主演女優賞を受賞。

ジンジャー・ロジャーズ演じるヒロインに言い寄る男は数知れず。そんな彼女はある医者(あまり裕福ではない)と今日の深夜に結婚する約束をするのだが、家に帰ってみるとそこには昔の恋人(妻帯者だが金持ち)が訪ねて来ていた。彼は離婚の約束は出来ないが、どうしても今夜一緒に来て欲しいと懇願する(二人の男性から今夜来て欲しいと言われるのがこの映画のポイント)。
彼の情熱に負けたヒロインは婚約者がいるにも関わらず一緒に行く約束をしてしまうのであった。彼が部屋を出た後、嬉しさのあまりヒロインは化粧台に置いてあったスノーグローブを振り、ガラス玉の中に舞う雪を見つめるのだが、その時、自分自身の心の声が聞こえてくる・・・

スノーグローブを眺めている間に、ふっと我に帰ったヒロインが鏡に映ったもう一人の自分と会話をする、というのは面白いアイデアであり、二人の求婚者の間で揺れ動くヒロインの心境を表現するのには効果的だったと思う。

回想シーンなどを見せる時に、場面の切り替えにスノーグローブ利用するなど、小道具としてはかなり効果的に使われていたのが印象に残っています。画面いっぱいのスノーグローブに雪が舞い、次第に画面が切り替わる様子は幻想的でとても美しかった。

スノーグローブが最初に登場したシーン以降は映画のほとんどが回想シーンで、二人の男性とヒロインの過去の描写になっています。回想シーンが終わると、映画の冒頭に戻り、ヒロインが男性と会うために家を出るシーンへとつながる。タクシーにのったヒロインが運転手に告げた行き先は・・・というわけで、最後の1分までヒロインがどちらの男性を選ぶのか分からないので、ラストシーンがよりいっそう印象に残ります。

戻る