雨のニューオリンズ(1965)

映画の冒頭、線路の上で遊んでいる孤児の少女が一人の少年と出会います。少女が、かつて自分が住んでいた酒場の思い出を少年に語る、という回想シーンで映画の本編が描かれます。

鉄道の周りに栄えた田舎町トッドソンに鉄道従業員の勤務評定係オーウェン(ロバート・レッドフォード)がやって来る。下宿先の娘アルヴァ(ナタリー・ウッド)はオーウェンに恋をし、オーウェンもまたアルヴァを好きになっていく。仕事を終えたオーウェンはアルヴァをニューオリンズへ連れて帰ろうとする・・・

という話なのですが、アルヴァの母親というのが、自分の娘を酒場の呼び物にしたり、自分が楽するためにお金持ちの老人と結婚させようとしたり、オーウェンと娘の仲を引き裂こうとしたりとかなり醜い仕打ちをするのです。時代背景とかを考えると、現実にこういう事があったのかもしれない。不況による鉄道従業員の解雇とそれに伴う酒場の客の減少・・・

結局オーウェンは、アルヴァを誤解したまま町を去ってしまいます。

オーウェンを忘れられないアルヴァが取った行動とは、自分の母の恋人を奪い取り、結婚した翌日に彼のお金を盗んでニューオリンズへと向かう・・・というもの。

ニューオリンズで二人は出会います。幸せになれる、と思ったのもつかの間、アルヴァの母親が二人の住むアパートに現れ、アルヴァの犯した過ちをオーウェンに全て話してしまう。これで二人の仲は完全に引き裂かれ、絶望したアルヴァは「もう全て終わりよ」と叫びアパートを飛び出していく。大雨の中、アルヴァは泣きながら走り続ける・・・

このシーンが邦題の元になったと思われますが、母親によって生き方を強制されたアルヴァが本当に切ない。

スノーグローブが出てくるのは、オーウェンとアルヴァが出会い、最初にゆっくり話をするシーンです。アルヴァはスノーグローブを手に取り、
「これを眺めていると暑さなんて忘れてしまうわ・・・夏の夜はパパと一緒にこの中にいる想像をした。手袋まで出したのよ。試してみる?」
と色目を使うが、オーウェンはそっけない返事。
「長旅で疲れているんだ、明日も早いし。おしゃべりではなく、今度は食事を持ってくてくれ」
アルヴァは怒って部屋から出て行ってしまう。

チヤホヤされ続けてきた高慢な女が、また男に取り入ろうとしたが相手にされずに癇癪を起こしてしまった・・・というシーン。肉体の魅力もスノードームの魔力も彼には効果が無かったというわけだ。高慢な女のプライドが壊されるこのシーンは見ていてちょっとだけスッキリしました(^_^;)

ちなみに、オーウェンはこれをペーパーウェイトって呼んでました。このシーン以外でも、アルヴァはよくスノーグローブを手にして振っていました。妹を会話をする時や、愚痴をこぼす時などスノーグローブに救いを求めているという印象。

この作品、なかなか雰囲気がある良作だと思いますが、個人的には本編よりも映画の最初と最後に描かれる少女と少年のやり取りが気に入っています。

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