『禁断の惑星』が作られたのは、SFブームまっただ中の1956年。子供の頃見て異常に怖かったSF映画の代表格とも言える作品であり、後のSF作品に最も多くの影響を与えた映画と言えるかもしれない。この時代を代表するSF映画の古典、というよりも完全に時代を超越してしまっている。それは他の同時代のSF映画と比べてみると一目瞭然でしょう。

地球人が乗る宇宙船が完全な円盤型なのは珍しく、内部のデザインも含めて明らかに『スタートレック』に影響を与えていると思われます。体を保護するために使用される装置は、もしかしたらスタートレックの「転送機」にヒントを与えたのかもしれない。そして、この映画の主題となっている人間の潜在意識を実体化するというアイデアは、その後多くの映画やTVドラマでも見ることができます。


見事なアイデアとストーリー、ロビーを含めた魅力的なキャスト、そして素晴らしい音楽(いかにも宇宙SFといった雰囲気の効果音)とこれほどの娯楽的要素がそろったSF映画も珍しいのではないでしょうか。非常に完成度が高く、SF映画に必要な要素が全て詰まっている映画といっても決して言い過ぎではないと思う。

映画の舞台は23世紀、宇宙連邦船C-57-Dは二十年前に消息を断ったベララホン号を救出するため、アルテア4に向かっていた。

この宇宙船のアダムス船長を演じているのが、あのレスリー・ニールセン。『裸の銃』シリーズのトレビン警部だ。この映画がデビュー作とは破格の扱いだなぁ。
アルテア4の大気圏内に突入した一行は、言語学者モービアス博士からの通信をキャッチするが、モービアス博士は救出を拒否したばかりか、アルテア4に着陸した場合の船と乗組員の安全は保証できないと言う。

異世界の雰囲気たっぷりのマット画で描かれた惑星に着陸した調査隊。一行の前に現れたのがモービアス博士の使いであるロビー・ザ・ロボット

最初の登場シーンではロビーがおじぎをしている。愛嬌のある仕草だが、どうしておじぎなのだろう? ロビーをデザインした人が日系のロバート・キノシタさんだから、というのは何か関係があるのかもしれない。
ロビーは『スターウォーズ』のR2D2にも影響を与えた、というのは昔からよく耳にする話なのですが、元々はどこから出た話なのだろう? 全然似てないと思うのだが・・・デザイン???
R2D2の人気にあやかりたくて勝手に言ってるのだとしたら、ちょっと悲しい・・・。
このロビーは映画の最後まで無機質なロボットであり、仮にSF映画にありがちな、やがて自我を持ち始めるという設定だとしたら映画はもっと安っぽいものになっていたかもしれません。

ロビーの案内でドクター・オストロー、ファーマン中尉、そして、アダムス船長の三人がモービアス博士の屋敷に招かれる。