ウィリス・オブライエンやジム・ダンフォース、デビッド・アレンといった他のモデルアニメーターと比べて、彼が残した作品は非常に評価の高いものが多い。ここで言う評価とは、アニメーターとしての評価の事ではなく、出来上がった作品全体の評価の事。
ウィリス・オブライエンはストップモーションの技術を彼一代で完成の域まで高め、ハリーハウゼンに憧れて特撮の世界に入ったジム・ダンフォースは、技術ではハリーハウゼンを超えたとさえ言われています。しかし、ハリーハウゼンが映画史に残した名作の数々と、それらの作品が後世に与えた影響は計り知れず、他の追随を許さないものです。

彼が偉大なのは、良い作品に恵まれただけではなく、彼が自分の力で作品をコントロールし、素晴らしいものに仕上げていったという事だと思う。作品のアニメーション部分を担当するだけではなく、彼は自分自身で作品の基本となるスケッチを描き、それを元にしてアイデアをふくらませ、それを作品に取り込んだ。低予算の映画にも関わらず、人並みはずれた想像力とそれによって生み出される独自のアイデアが彼の作品を面白いものにしたのでしょう。

チャールズ・H・シニアと出会えたも大きかった。ハリーハウゼンのアイデアに理解を示し、プロデューサーとして共に作品を作り上げていきました。ハリーハウゼンが自分の作品をコントロールできたのは、良き理解者であるシニアがいたからこそ可能だったのです。

また、時代も彼に味方したのかもしれない。技術が向上し、CGに見劣りしない動きのストップモーションまで見られるようになったのですが、それに独自の価値見を見いだすことは難しいかもしれません。「画面のブレ」が無いためにカクカクした動きになるストップモーションにこそ、他の映像には無い味わいを感じるファンが多いからです。これからも、ハリーハウゼンの作品は多くのファンを魅了し続けていくと思います。