良く『ゴジラ』の元ネタと言われていて、たしかに類似点も多くあります。見方によってはほとんどパクリともいえるのですが、『原子怪獣現わる』が制作されたのが1953年で、劇場公開は『ゴジラ』と同じ1954年。本当に東宝はこれに影響されて『ゴジラ』を作ったのかしら? 『原子怪獣現わる』にヒントを得て、本当にわずか1年で『ゴジラ』を作ったのだとすると、東宝の技術力は相当なものでしょう。

比較するのも野暮な気もしますが、同じ水爆によって目覚めた恐竜という設定でありながら、ゴジラは破壊神、科学による自然破壊をする人間に対する天罰のようなもの、あるいは、自然が人間に与えた試練、というイメージがあるのだが、リドサウルスは単なる大きなトカゲが暴れているだけという印象が強い。怪獣としての重み、といったら変でしょうか、存在感がまるで違います。ゴジラのほうが明らかに映画としての完成度が高い気がします。ゴジラのようなモンスターは被爆国である日本だからこそ描くことができたのかもしれない。

リドサウルスの最初の登場シーンでは、氷山の間からチラッと姿が見えるのですが、ちょこまかした動きでかくれんぼでもしているかのよう。頭が大きく、動作が子犬を思わせるその容姿はちょっと可愛い。この映画ために多くのモンスターが考案され、それらの中にはタコ型の怪物や、もっとトカゲっぽいデザインもあったのですが、最終的には恐竜型が採用されたという事です。タイトルをそのまま日本語に訳すと、水深3千600メートルから来た怪物・・・タコの怪物を想定して付けたようなタイトルですね。

ちなみにリドサウルスとは、レイ・ハリーハウゼンのイニシャル(R・H)をとって、Rhedsaurusと名付けられたものです。