物語は最新の原子力潜水艦のテスト航行中、ソナーに正体不明の強大な物体が写るところから始まる。

「位置は?」
「艦の真後ろです。追ってきます。」
「クジラじゃないのか?」
「大きすぎます。潜水艦でもありません。」
「距離600・500・300・・・・さらに接近しています。」
巨大な物体は潜水艦に接触。放射能漏れの警告が鳴り響くが原子炉には異常がない。潜水艦をは全速でその場を脱出するが、後部舵にはゴム状の物質がからみついていた。

その謎の物体は二人の海洋学者、カーター教授とジョイス博士によって調査される。美しいジョイス博士に一目惚れした潜水艦の艦長マシューズは、他に仕事があるので帰ろうとするジョイスを海軍の要請という理由で引き留める。

下心丸出しで不愉快なシーンだ。

研究室で仲良く仕事する二人を見て嫉妬するマシューズ。居眠りをし、起きるとタバコを吸う・・・こいつは何でここにいるんだ? 仕事はどうした。

映画全編に渡ってこの三角関係、というかロマンスがやけに強調されているのですが、このラブストーリーの要素は映画に不要な気がします。なんだかマシューズが仕事がいい加減な好色男に見えてしまう。短い映画なのにロマンスの部分に時間を取られ過ぎ。おそらくタコのアニメートに時間がかかり、他の要素で話を膨らませるしかなかったのではないか、と想像します。実際、ハリーハウゼンのモンスターは物語の後半でまで出現しない。

艦長マシューズを演じているのはケネス・トビーという役者さんなのですが、この人は『遊星よりの物体X』(1951)で主人公の軍人、ヘンドリー大尉を演じていました。物体Xを生かしておこうと主張する科学者と対立し、基地内にある粗末な武器を駆使して物体Xに立ち向かう勇敢な男でした。ハリーハウゼンの『原子怪獣現る』(1953)でも軍人役で出演。そして、『水爆と深海の怪物』では潜水艦の艦長マシューズ役で主役として登場。つまり、1950年代の怪物退治の専門家というわけです。ニヒルで、どの映画でも必ずタバコを口にくわえているのが特徴。