ところで、『ガリバー旅行記』がどんな話だったか覚えている人は意外と少ないのではないでしょうか。誰でも一度は子供向けの本で読んだことはあるでしょうが、漂流して小人の国に流れ着いたガリバーが、地面に縛り付けられて・・・という場面だけしか覚えていない、という人も多いのでは。まして『馬の国』や『空飛ぶ島』の話があるなんて原作を読むまでは聞いた事も無かったという人がほとんどかもしれません。

オリジナルは、リリパット国(小人の国)、ブロブディンナグ国(巨人の国)、ラピュータ(空飛ぶ島)、そしてフウイヌム国(言葉を話す馬の国)の四編からなっているのですが、この映画は最初の二編を映像化したもので、当時日本では未公開。ハリーハウゼンを語る時、必ずといっていいほど出てこないのが本作であります。

医者であるが患者が少なく、貧乏なガリバーは、お金を稼ぐ為に船医として船に乗りたいと考える。どうしても船に乗ってほしくない婚約者のエリザベスとはケンカ別れ。愛よりも現実的にお金をとってしまう。だが、船倉には、家を飛び出していったエリザベスが潜り込んでいた。船を「降りろ」、「降りない」でエリザベスと口論になったガリバーは、嵐の海に転落してしまい、小人の国『リリパット』に流れ着く。ここは、わずか数センチしかない小人が住む国であった。

巨体を生かし、数千人分の力仕事をこなし人気者になるガリバー。海を歩いて渡り、敵国の軍艦をロープで引っぱり奪ってしまう。血を流すことなく「卵の割り方に端を発した戦争」に勝利したガリバーはリリパットの英雄としてもてはやされることになる。

祝宴の夜、火事になってしまった王宮の火を消そうと、口に含んだお酒を吹きかけたところ(原作ではオシッコをひっかけて火を消す)それが王妃様を直撃。火事は消し止められたものの、無礼な行為と見なされ、国王の怒りを買い、国外追放になってしまう。いずれ自分の国へ帰る時のためにつくってあったボートで脱出したガリバーが次に流れ着いたのは、巨人の住む国、ブロディンナグだった。

浜辺に座っている人を発見したガリバーは助けを求めて駆け寄るが、それはちょうど人間と同じ位の大きさの人形だった。その人形はブロディンナグに住む少女、グラムダルクリッチのオモチャの人形だったのだ。