この映画を見た時、昔好きだったTVドラマ『巨人の惑星』を思い出しました。
『巨人の惑星』というのは1968年にアメリカで放送されていたSFドラマで、製作、脚本、監督はタイム・トンネル
(1966-1967)、宇宙家族ロビンソン (1965-1968)などで有名なアーウィン・アレン。日本では1969年にテレビ東京で放送された。20年程前に見た記憶があるので、1980年代にも再放送があったのだと思います。
宇宙船が航行中に謎の光に包まれてワープしてしまい、地球とそっくりな惑星に不時着する。近辺の調査に向かった彼らを待ち受けていたのは巨大な植物や昆虫だった・・・というお話。この惑星には普通の人間も住んでいる(もちろん大巨人)。
覚えているエピソードを一つ。
自分たちと同じ大きさの町を見つけた彼らは、こっちに向かって走ってくる車を発見。元の世界に帰れたのか?助けてもらおうと近寄るが、それは誰も乗っていない無人の自動車で、その自動車は巨人の子供が遊んでいたオモチャの車だった・・・というお話。
要するに、子供部屋にあるジオラマの中に迷い込んでしまっていた、というオチだったのですが、今思えば陳腐な特撮で「そんな馬鹿な」と思いつつ、毎週けっこう楽しんで見ていました。巨大なセットを多用して人間を小さく見せていた画面は、見ていてけっこう楽しかった。
友好的な巨人の助けを借りて脱出をはかるというストーリーは、ブロブディンナグ国の話とそっくりで、元ネタは明らかに『ガリバー旅行記』である。
少女に捕まってしまい王宮に連れて行かれたガリバーは婚約者エリザベスと再会する。エリザベスも嵐で船が難破し、この国に流れ着いていたのだった。
二人は王様のペットとしてかわいがられ、グラムダルクリッチはペットの世話係として王宮に滞在を許される事になる。国王の権限でエリザベスと結婚したガリバーは、ここで幸せな一生を送るのも悪くないと思い始めていた。
新婚旅行と称して二人が王宮を抜け出した時、リスに襲われるのだが、このリスは手に入れた剥製に合わせてアーマチュアをつくり、最後にスポンジを入れて仕上げたものなのでとてもリアルに出来ています。
ガリバーとエリザベスを快く思わないのが王宮専属の医者(魔術師)だ。何しろ、ガリバーの国のほうが科学が進んでいるので、自分が知らないことをガリバーは何でも知っているし、元々の頭の出来も違うようだ。自分が治療できなかった王妃の腹痛をガリバーが薬を調合する事によって治してしまったので医者の面目丸つぶれ。この医者の陰謀により、『小さい魔物』にされてしまったガリバーはいくら『科学』という物を証明しようとしても信じてもらえず、巨大な(ガリバーにとって)ワニの怪物と戦うはめになる。しかしこの医者の娘・・・よくこんなに意地悪そうな顔をした子役がいたものだ、と思うほどきつい顔してる・・・。
この作品では、ストップモーションが少なく、時間に余裕があったためか、ワニとの戦いには十分な時間を取ってじっくりと見せてくれている。
何とかワニを倒したが、それも魔物の力と思われたら大変だ。グラムダルクリッチがガリバーとエリザベスを籠に入れて王宮を逃げ出す。追手が近づき、これ以上逃げ場が無くなったグラムダルクリッチは二人の入った籠を川に放り投げて二人を海へ逃がすことに成功する。
海へと流れ出た籠は、漂流してガリバーの故郷、イギリスへと流れ着く。
旅を通してガリバーは自分の考えが間違っていたことを悟る。エリザベスと手をつないで新居へと向かう二人。
「大切なのは、お金じゃなくて愛だよね」みたいなファミリー向けの映画となっています。