『海底二万マイル』の続編と紹介した時点で、「この人物」の正体はバレバレだが・・・つまり、ネモ船長です。子供の頃の断片的な記憶では、この映画はディズニー作品の『南海漂流』(1960)とごちゃまぜになっていました。全体的に何とも言えない変な(微笑ましいと言ってもいい)雰囲気が漂う映画で、鑑賞中に頭の中に何回も「?」が浮かんできます。シリアスな場面と息抜きのようなのんびりした場面が交互にやってくるので、見ているほうは「そんな事している場合じゃないだろう」と突っ込みたくシーンがやたらと多いのです。

ロビンソン・クルーソー的なサバイバル生活が主題になっていて、そのストーリーに絡めて、ハリーハウゼンのクリーチャーが順次登場するといった流れになっています。気球、サバイバル、猟り、洞窟、海賊、そして秘密基地といったように、子供の頃に誰もが持っていた冒険心をくすぐられるようなシーンが随所にちりばめられている。

登場する巨大生物はモンスターと呼ぶにはいささか語弊があるような生物がほとんどで、それは、カニや蜂であったり、実在の昆虫などが大きくなったもの。
それらの全てスがトップモーション・アニメで描かれているのですが、どこかユーモラスな印象を与えるものが多い。

物語は南軍の捕虜収容所からハーディング大尉、ハーバート、ネブが脱走を企てるところから始まる。
収容所の外にある気球に目をつけたハーディングは、南軍兵士の服を奪って南軍になりすまし、そこに北軍の従軍記者であるスピレットも仲間に加わり気球を奪うことに成功する。気球が浮かび上がろうとするのを阻止しようとした南軍のペンクロフト軍曹も脱走した四人とともに大空へ・・・
「ここからたたき落とすぞ。気球を操縦出来るなら助けてやる。」

これからのドロドロした人間関係を予感させ、SF映画であることを全く感じさせない展開。

この場面は昔見た時には全て実写だと思っていたのですが、実際は気球は人の背丈くらいの大きさで作られており、収容所なども精密なセットを作り移動マットで実写と合成している。