脱走には成功したものの嵐につかまり、気球は何日も風に流され続ける。

しかし、トイレはどうするのだろう?

映画で漂流するシーンを見ていると、男だけならまだしも、女性も含む漂流者達がイカダなどで何日も漂流している場面を見ると、その事が必ずといっていいほど頭をよぎる。悪い癖だが、こればかりはどうにもならない。男五人が順番に気球からウンコするのを考えると、せっかくのロマンが台無しだ・・・

気球が破れて、高度が落ちてきた頃に近くに島が見えてくる。ハーディング大尉が気球から落ちてしまうが、残りの四人は何とか海岸へたどり着く。一夜明けて、行方不明になったハーディング大尉を探す四人。綺麗な風景だ。マット画との合成が素晴らしい。

「落ち着けよ、食事が先だ。見つかったって生きているものか。」
って・・・皆以外と冷たい。

この映画は『シンドバッド・七回目の航海』と同じスペインの海岸でロケされまし。下の写真を比べてみると、角度は違うが同じ場所だという事が確認できます。左がシンドバッドたちがサイクロプスから逃げるシーンで、右が今回流れ着いた海岸。

一人で捜索を続けているのは、いい人丸出しの黒人ネブだ。彼が遠くに煙を発見し駆け寄ってみると、ハーディング大尉が海岸で倒れていた。その傍らには焚き火がたかれていたのだが、ハーディング大尉には自分で焚き火をたいた記憶がないのであった。
「火をおこす元気もないし、マッチも持っていなかった。」
「大尉でないとすれば、誰が?」

この時点で早くもネモ船長登場にむけての伏線が張られている。

お互いの無事を喜び合った五人は、巨大なカキで食事をした後、生活の拠点となる小屋を建て、島の探索に出発。山を越えて島の反対側に到着すると、そこで「巨大ガニ」に遭遇する。この巨大ガニに槍で対抗し、ロープで足をひっぱり裏返して近くにあった間欠泉に落とすと、ゆでたカニのできあがり。思わぬ料理にありつけた五人は、ハーモニカを吹き、歌い踊る。

サバイバルというよりもピクニックを思わせるこのような脳天気さ、緊張感の無さはこの映画の特徴の一つで、どこか違和感を感じる人もいるかもしれません。

このカニはデパートで買って来たいちょうがにで中身を取り出して骨格を中に入れて動かした。良く出来ていると思っていたが、実物だったとは驚き。このカニ料理、皆美味しそうに食べているのだが、「大きい」というだけで、「大味でまずい」というイメージがあるのはなぜだろう。この認識は事実なのでしょうか。

ずばり、この映画のテーマは『食』です。このカニ料理をはじめ、退治してはそれを食べるという行動はネモ船長登場に向けての重要な伏線になっています。

南軍と北軍の兵士が対立するといった描写も危惧していたほど多くはなく、協力し合ってサバイバルに挑む様子は平和的であり、見ている者を必要以上に不愉快にさせることもありません。