ネモ船長を含めた八人は沈没した海賊船を修理して島を脱出する計画を立てる。間抜けな潜水服を着て海底で作業を行うための訓練をする場面があるのですが、このシーンでは本当に貝を背負った状態で実際に水中で撮影しているそうです。背景に見える海底の神殿やその他の建造物は特撮ファンへのサービスカットか、素晴らしい。

しかし、修理があまり進まないうちに火山が大爆発を始める。もう時間がない、と諦めかけたが、ハーディング大尉のアイデアで海賊船を浮上させることに成功する。

その方法とは破れた気球を修復し、海賊船の中に気球を入れて、そこに竹でつないだチューブによって空気を送り込んで浮力を得ようというもので、この空気ポンプ作戦の動力はノーチラス号のエンジンを使用するというわけです。
作業に取りかかり、潜水服で気球を海賊船に運ぶ途中に、この映画最後の巨大生物であるオウムガイに遭遇。これ、アンモナイトだ。でも顔の部分はタコのような造形。この巨大オウムガイはネモ船長の電気銃であえなく死亡。

最後になって、いかにもハリーハウゼンらしいモンスターが出現しましたが、目つき悪いなコイツ。ハリーハウゼンの造形にしては珍しく好感度が低い。巨大化しているという事は、これも食用なのでしょうか。『水爆と深海の怪物』の所で、アメリカ人はタコを食べないという話を書きましたが、これは食べるのか・・・?

海賊船を浮上させる事に成功するのとほぼ同時に火山が大爆発。空気を送り込むためにノーチラス号に残っていたネモ船長は大事な研究書類を抱えて脱出をはかるが、火山による落石でノーチラス号が破壊され、あっけない最後を遂げる。
命の恩人を救えなかった事を悔やむ一同。ハーディング大尉はネモ船長の意志を継いで、平和のために全力を尽くすことを心に決めたのであった。

最後はちょっとだけシリアスな終わり方。なんだかこの映画にはふさわしくない気もしますが・・・

最後の火山のシーンもミニチュア撮影とは凄い。これはいい作品だと思うのですが、当時日本では劇場未公開。これはどういう事情だったでしょうか?
ノーチラス号の扱いが不満、という人も多いでしょう。ハリーハウゼンのデザインも素晴らしく、ミニチュアはなんと3メートルもあるそうです。空気ポンプの役目を果たしただけで最後に火山活動で破壊されてしまうとは本当に残念でならない・・・技術的な問題だったのか、予算の都合か、それともストーリーを成立させるためにあえて動かないという設定にしたのか、『海底二万マイル』の時の勇姿を知る者にとってはちょっと寂しい。