ところでこの映画に出てくる神々、後に製作されるタイタンの戦いでもそうなのですが、神々がやけに人間くさいのに違和感をもった人はいないでしょうか。日本人の多くがイメージする神々とは違い、嫉妬したり、神様同士で言い争いしていたり・・・

だが、本来のギリシャ神話を知っている場合、それほど違和感は無いのです。意外とこの映画の神々はギリシャ神話に忠実な気がします。
すぐ人間の女にちょっかいを出し子供を生ませるゼウス、誰が一番美しいかで喧嘩する三人の女神たち。ギリシャ神話の神々はこんなに人間的だ。人間の脳みそで考えだした全知全能の神様なんて所詮こんなものかもしれません。

地上に戻ったジェイソンは競技会を開き、勇者たちをを集める。ポリデュウセス、カスター、ヘラクレス、そしてそこにはペライアスの息子アカスタスもいた。この競技会でいい所を見せたのがハイラスという若者。ヘラクレスに勝負を挑み、見事な円盤投げを見せて仲間に加わる。ちなみにこのハイラスという若者はギリシャ神話ではヘラクレスの愛人という事になっております・・・

船を建造したのはアルゴスという船大工。彼の名にちなんで船はアルゴー号と名付けられた。アルゴスは船首像を何故か船尾に作ってしまい、自分でも理由は解らないという。ジェイソンが船尾像を見ると、それはジェイソンを助けてくれる約束をした女神ヘラの姿であった。

このヘラの像は目が動くようになっています。ハリーハウゼンは口も動かそうとしたのですが、腹話術の人形のようになってしまうと考え、心と心で会話するという設定に変更したそうです。

こうして船と乗組員を得てヘラの加護のもとにジェイソンは『黄金の羊毛皮』を求めて冒険に出発する。

主演のトッド・アームストロングはこの映画以外目立った活躍をしていないのが残念。主役はこの『アルゴ探検隊の大冒険』のみだ。生まれが1937年7月で没年が1992年11月ということは、54才でなくなったということになります。ハリーハウゼン作品の主人公ってどうして大成しないのでしょうか? モンスターが印象的すぎて役者が記憶に残らないのか、神様に頼りすぎて今一つ主人公に魅力を感じないのか・・・

ここからあとは、ハリーハウゼンの個性的なモンスター達が続々登場する展開。