航海を続けているあいだに水も食料も無くなりかけ、船員たちは過酷な重労働で不満をつのらせ、信頼を失いかけたジェイソンは女神ヘラに助けを求める。いくらなんでも早すぎでは・・・。
ヘラが教えてくれた島にはタロスがいるので、水と食料以外は絶対に手をつけないように船員たちに伝えて上陸する。
食料を供給する船員たち。ヘラクレスとハイラスの二人は羊を追いかけて島の奥へと入って行き、そこで無数の巨大な像を見つける。その像の台座には神々の宝物が山のように入っていた。
「これだけあるんだ。一つくらい取っても神様だって気がつくわけがない。」
ヘラクレスがピンを一つ持って外に出ると、ギ、、、ギ、、ギギィー とタロスが動き出す。

ここで登場するタロスは巨人ですが、ギリシャ神話では等身大の大きさです。青銅人間タロスは、ゼウスがミノス王に与えた召使いで、ヘパイストス(火と鍛冶の神)、あるいはダイダロスが作ったとされています。体の中に一本の血脈があり、踵には青銅の釘が打ち込まれている。タロスの仕事はミノス王が治めているクレタ島を一日に三回巡回して、外国の船を見つけたら、どこの船であろうとも大石を投げつける事でした。
またタロスは火で自分の体を真っ赤に焼き、侵入者を抱擁すると瞬時に焼き殺してしまったという。ギリシャ神話では、太陽神ヘリオスの孫娘メディアが踵の釘を抜いて全身の血液を流し出して殺したことになっています。

このタロスの動きは、当時かなり批判的な意見もあったようです。意図的なのかどうか分かりませんが、今見るとそのぎこちなさがむしろ青銅の巨人といった雰囲気をよりいっそう引き立てているようにも見えます。人間の目線から見た巨人が錆び付いたような気持ち悪い金属音をたてながらゆっくりと振り向くシーンは本当に巨大な像が動いているようで不気味。

そしてヘラクレスたちを追って船で逃げるジェイソンたちの所まで追いかけてきたタロス、は航路に立ちふさがり船を持ち上げて海へたたき落とす。

動くたびに聞こえる間接がきしむような金属音がタロスの怖さをよりいっそう引き立てている。

壊されて海に浮かぶヘラの像に助けを求めるジェイソン。これは仕方が無い。

「勇気よりも知恵を使って戦いなさい・・・足首に注意するのです」

足首に蓋のようなものを見つけたジェイソンがそれをひねると、タロスの足首から物凄い蒸気が噴き出しはじめる。そして、完全に外すとそこから大量の真っ赤な液体が吹き出し、苦しそうに体をかきむしりる。
このシーンは灼熱の身体を持つというギリシャ神話からの設定を生かしたものと思われます。

そして全身にヒビ割れが入りだしてタロスは崩れ落ちる。

こういう人間っぽい動作はハリーハウゼンは得意ですが、本人の話によると他のモンスターと比べてタロスのアニメートは簡単だったそうです。たしかに、顔の表情が無いだけでもかなりの手間が省けそうです。長年ハリーハウゼンが使いたいと考えていたキャラクターであったのですが、初期のコンセプト画では、カラーを巻いたおばさんのような頭をしているのが笑えます。戦士のようにしたかったので、最終的にはヘルメットを被せる事になったとの事。

ギリシャ神話に登場するタロスですが、映画化する際のモデルになったのはロードス島の巨像。紀元前3世紀頃にリンドスのカレスによってロードス島に建造された、太陽神ヘリオス(ギリシャ神話のアポロと同一視されている)をかたどった彫像の事で、世界の七不思議の一つとされています。青銅で出来ており、目から光を放つという巨像は、自由の女神と同じく、頭の回りには太陽の光をかたどった冠が飾られていました。両足を広げたヘリオスの巨像が有名ですが、その造形は事実に基づかない単なる想像に過ぎないものです。