アルゴー船
コルキスとは黒海の東の果てにあり、黄金の毛皮は不眠の竜が守っているという。ほとんど無事に帰れる見込みの無い旅であった。
ジェイソンは49名の同士を募った。
ジェイソンの名前は勇士として広く知れ渡っていたため、武装した勇士が次々と集まってきた。その中には竪琴の名人オルペウス、豪傑ヘラクレス、千里眼のリュンケウス、ミノタウロスを退治したテセウスなどがいた。船は設計した船大工のアルゴスの名にちなんでアルゴー船と名付けられた。多くの英雄や錚々たる人物が乗り込んだアルゴー船は長く、過酷な冒険に出発した。この英雄達は船の名にちなんで、現在でもアルゴノーツ(Argonautes)と呼ばれている。
英雄達
これほどの英雄が集まったので、航海中の冒険談が数多く残っているのは当然のこと。ここでは映画でも描写されている部分を中心にいくつか取り上げてみたいと思います。
船がキオスに到着した時、ヒュラス(映画ではハイラス)いう美少年が水を探しに出て行ったきり戻らなくなってしまった。ヒュラスのあまりの可愛らしさに数人のニンフ(妖精)が誘惑して、池の中へ引きずり込んでしまったのだ。ヘラクレスはこの少年を愛していたので、少年を探しに行き、皆が先を急ぐのも聞かずに、ここに残ってしまった。結局少年は見つからず失意のうちにヘラクレスはギリシャへ帰ることになる。肝心の黄金の毛皮を取り戻す時にヘラクレスは不在だったのである。
トラキアでは、顔が女で体が鳥の怪物に苦しめられていた国王ピネウスを救い出した。ピネウスは自身の横暴さによりゼウスの怒りを買い、盲目にされてしまっていた。彼が食事をしようとすると、怪鳥がやってきて食料をさらってしまうのであった。怪鳥を退治してもらい感謝したピネウスは一行にコルキスへの最も安全な航路を教える。
ピネウスに教えてもらった航路で危険なのは、巨大な二つの浮島がぶつかり合う狭い海峡であった。ピネウスのアドバイス通りに白い鳩を放ち、鳩が通りすぎた瞬間のタイミングをはかり力一杯船を漕ぎ、危機一髪難関を通り抜けた。
ジェイソン達はこうして数々の困難に耐えて、無事コルキスに到着した。