コルキスの王アイエテス

ジェイソンはペライアス王が黄金の毛皮を取り返す目的で自分たちをこの国に送ったのだという事をはっきりと告げた。
しかしコルキスの王アイエテスは、
「黄金の毛皮はすでに国宝になっているので無条件で返すことは出来ない」と言う。それを聞いたジェイソンは、
「そもそもあの金の羊毛皮はヘルメス神が私たちの一族に送られたもの。持ち帰り私たちの祖国の神殿に奉納するのが筋でしょう。私たちがこの長旅を無事にやって来れたのも神の加護があってのこと。お返しにならないと神のお怒りをかうことになります。」

たしかにその通り。危険な航海を無事に終えたアルゴー船が神の加護を受けていた事も忘れてはならない。これはギリシャ神話なのである。

アイエテスは皆殺しも考えたが、確かに神の怒りをかうことになるかもしれないと考え、
「よかろう。それでは本当にあなたがたに神の加護があるのか見せてくれ。この地に軍神アレスの雄牛がいる。脚は青銅、口から火を吹く暴れ牛だ。この牛にくびきをつけて畑を耕してくれ。その畑に私が竜の歯を撒くと、大勢の兵士がそこから湧いてくる。その兵士たちを一人残らず打ち倒してみせてくれたら金の羊毛皮をお返ししよう。」
ジェイソンは大変な難題をふっかけられてしまったが、これに応じる以外に道はなさそうだった。しかし神々に気に入られていたジェイソンは思いもよらない人物の助けを得る事ができたのである。