王女メディア
そのころ天上からアルゴー船の冒険を眺めていた神々の意向を受けて、幼神エロス(キューピッド)がコルキスの王女メディアの胸めがけて金の矢を放った。たちまちメディアはジェイソンに恋をした。神々は難題に直面したジェイソンにアイエテスの身内を見方につけてしまえばばいいと考えたのである。メディアは父上にとんでもない難題をふっかけられたジェイソンを救うためにプロメテウスの草と呼ばれる薬草を持って現れた。
「あなたを助けてあげましょう。これを煎じた薬を体に塗れば、どんな火に焼かれても決して火傷をしません。また兜に塗っておけば、竜の歯から生まれる兵士も恐れることはありません」
ジェイソン達はこの薬のおかげで火を吐く雄牛を操り、畑から出て来た大勢の兵士も仲間と一緒に退治することに成功した。
しかし、まさか成功すると思っていなかったアイエテスは烈火のごとく怒り軍隊を送ってジェイソン達の皆殺しを謀る。
事態を察したメディアはジェイソンのもとへ行き、自分の裏切りがばれてしまい、父上が攻めてくるので一緒に連れて逃げて欲しいと告げる。
「しかし、金の羊毛皮を手に入れるまではここを離れるわけにはいきません。」とジェイソン。
「私が金の羊毛皮を吊るしてある森へご案内します。見張りの竜を眠らせる術もしっています。」
メディアを味方につけ森へ行き、これもまたメディアが用いる薬草で竜を眠らせ、ジェイソン達は金の羊毛皮を手に無事船へ逃げ帰ることに成功した。ジェイソンはここまで世話になり、助けてもらったメディアを残していくこともできず、結婚の約束をし、船に乗せることにした。しかし、その頃すでに大軍隊が航路で待ち伏せしていたのである。