舞台は20世紀初頭のメキシコ。サーカス団のメンバーの一人が、掌にも乗りそうな小さな子馬を捕らえて持ち帰ってきたのが事の発端である。
子馬が捕らえられたその場所を、ジプシーたちは『禁断の谷』と呼び、恐れていた。
ジプシーの老婆が言う、
「いけない、グワンジから奪った者には呪いがかかる。禁断の谷へ返さないと皆に呪いがかかって怖ろしい事が起こる」
だが、サーカス団の面々は「年寄りの迷信だ」と言い全く取り合わず、子馬を連れ帰ってしまう。

「馬鹿者がぁ、いつか罰を受けて思い知ることになるぞぉー」

・・・というわけで、
これから起こるであろう大惨事を予感させるには十分すぎるプロローグが終わると、オープニングタイトルが始まる。音楽が西部劇風で格好いい!

リオ・グランデの南でサーカス団が興行していた。サーカス団の花形スターが、この映画のヒロインT・J・ブレッケンリッジ。彼女のショーは馬に乗り、高い塔から下にある水の入ったでっかい桶に、その馬もろとも飛び込むというもの。観客は拍手喝采だ!

でも、これって凄い芸なのかな? よくわからん。不覚にも笑ってしまった。

このシーンがスタントではなく、ストップモーションで描かれているという事は、実際にはこんな芸当は不可能という事なのでしょうか。良く見ると桶の大きさは馬の全長よりも一回りほど大きいだけ。人間はともかく、一歩間違えば馬のほうは首チョンパだ。

出し物が終わり、着替えをするT・Jの控え室に、元恋人で本作の主人公タック・カービーが現れる。ブローカーである彼はT・Jにサーカス団の買収話しを持ちかけるのだが、勝手に自分の元を去っていったタックを恨んでいるT・Jは、全く耳を貸そうとせず彼を追い払う。

追い出されたタックが知り合ったガキのロペと一緒に町へ向かう途中、エオヒップスの調査をしているというブロムリー教授と出会う。馬に逃げられて立ち往生していた教授を彼のテントまで送り町へもどると、闘牛場では出し物の訓練が行われていた。それを見物するタックとロペ。
すると、いつの間にかロペが闘牛場の中で牛と向かい合っているではないか。驚いて救出に飛び出したタックはロペを助け出したものの牛に怪我を負わされてしまう。
「大丈夫?」と近くで見ていたT・Jが駆け寄る。
見つめ合う二人。
次の瞬間、ぶちゅぅーっと熱いキス。

いくらなんでも仲直り早すぎ。

本当の愛とは、ヘソよりも数センチ下に存在するという・・・ロペの行動があまりに唐突で不自然だったのは、このシーンのためだったのか。

タックの傷を手当てするT・J。すっかり仲直りした彼女は、タックを新しい出し物が置いてある部屋へと連れて行き、今度サーカスで披露する予定の動物を見せる。

ここで小さな小屋から顔を出すのが、冒頭で禁断の谷から連れてきた子馬。初めて画面に登場するのだが、その動きの素晴らしさには目を奪われる。唖然とするタックの目の前で尻尾を振りながら角砂糖を食べる姿、これは可愛いなぁ。見慣れた恐竜などよりも、このシーンの方が印象に残っている、という人も多いのではないでしょうか。

タックは彼女にも相談する事なく、ブロムリー教授にこの子馬を見せてしまう。

ブロムリー教授・・・『アルゴ探検隊の大冒険』で船大工アルゴスを演じていた役者さんだ。

教授によれば、この子馬こそが、絶滅したはずの馬の祖先『エオヒップス』であるという。探し求めていたエオヒップスを目の前にして興奮する教授。いやな予感・・・