映画の中で、あっという間に成長したペルセウスであったが、女神テティスの嫉妬からヨッパの円形競技場へと連れてこられてしまい、そこで劇作家のアモンと出会う。彼の話からセリポス島で生活している間に故郷アルゴスが神の怒りをかい、すでに滅びてしまったことを知る。翌朝彼が目覚めてみると、闘技場には神々からの贈り物である剣を盾、そして被ると体が透明になる兜があった。有頂天のペルセウスは兜を被ったまま大都市ヨッパへと向かう。いかにも頭悪そうな行動だ。
ヨッパに到着したペルセウスは、人が張り付けにされて火で焼かれているのを目撃。理由をきけば、火刑にされているのは王女アンドロメダの求婚者であり、失敗した者は焼き殺されてしまうのだという。結婚の条件は出題される謎を解く事。その謎の出題者はアンドロメダの元婚約者で、罰を受けて醜い姿に変えられてしまった女神テティスの息子カリボスであった。アンドロメダは毎夜、眠りに就くとカリボスの使いにより彼の元へ連れていかれ、そこでカリボスの口から次の求婚者への謎がアンドロメダに伝えられる。そして、その謎をアンドロメダが求婚者に出題するという仕組みだ。
しかし、謎を解くことなどペルセウスにとっては朝飯前。何しろ彼には神様からもらった透明兜があるのだから。ペガサスに乗ってカリボスの元へひとっ飛びして出題する問題をあらかじめ盗み聞き。カリボスの腕を切り落とし、それを手みやげに求婚者としてアンドロメダの前に颯爽と登場。いとも簡単にアンドロメダとの婚約に成功するのであった。しかし、この質問は謎というよりもナゾナゾだ。
主人公を暑苦しく演じているハリー・ハムリンですが、一応この作品のヒーローなので個人的な意見は控えることにします。一つだけ言わせてもらうと、ヒゲが濃くてアゴが二つに割れている顔って、少なくとも日本人には受けないだろうなぁ・・・と思いました。しかし、これほど神様の加護があれば誰でも無敵でしょう。
アンドロメダを演じるジュディ・バウカーはというと、これが可憐という言葉がぴったりの可愛らしさ。ドラマ部分はこの人を見ているだけで十分。1954年生まれだから、この作品の時は27歳ということか。若いなぁ、10代にしか見えない。清楚な雰囲気の彼女は、お姫様役には適任だったと思う。
この場面以外でもたびたび登場することになるペガサスのアニメーションはジム・ダンフォースが担当しています。体力の衰えを感じたハリーハウゼンが、一番信頼しているジム・ダンフォースに協力を依頼したとの事。空中で足を動かしながら大きな翼を羽ばたかせ、文字どおり天を駆け抜けるペガサスの動きは美しく、ハリーハウゼンに代わってアニメートしたダンフォースの素晴らしい仕事に思わず拍手。
カリボスのアップは人間が特殊メークで演じ、格闘シーンなどのロングショットがストップモーションで描かれているのですが、違和感がありすぎて別の生物に見えてしまう。元々は、全てストップモーションで描かれる予定だったのですが、映画の内容を理解しやすくするために、説明的な台詞を話す必要があったので人間の俳優を使ったとの事。カリボスのモデルの骨格は、前作『シンドバッド虎の目大冒険』の一角原始人トロッグのモデルが解体されて使用されました。
ちなみに、カリボス(Calibos)という名前はシェイクスピアの『テンペスト』に登場する怪物キャリバン(Caliban)をもじって付けた名前で、ギリシャ神話に登場するキャラクターではありません。
めでたくアンドロメダと婚約したペルセウスであったが、祝宴の当日、アンドロメダの母親カシオペアが「自分の娘の方が女神様よりも美しい」といった事を口走ってしまったから大変。ここぞとばかりに女神テティスが登場し、女神と人間を比べた罰として、三十日後に娘のアンドロメダをクラーケンの生け贄に捧げるよう告げられてしまう。それに背けば、クラーケンが全てを破壊するという。
映画では期限が明日だったり、三日後だったりとか主人公側の都合によって悪役が時間を与えるのが定番だが、三十日後って、ずいぶんと時間を与えられたものです。