ダナエとペルセウス
アルゴス国の王アクリシオスの娘ダナエは美しく育っていた。アクリシオスが神託に自分の運命を尋ねたところ「汝の娘の子供によって滅ぼされる」と予言される。すると王は、「この娘が子供を産まなければいいのだ」と考え、青銅の塔に娘を閉じ込めて、男が近づかないようにしてしまう。
しかしこの美女に目をつけたのが、神々の王様ゼウス。
ゼウスは黄金の雨となって青銅の塔に降り注ぎ、ダナエが窓を開けるとそこからゼウスは忍び込み、ダナエの膝に流れ込み交わりをかわしてしまった。
こうして生まれたのが英雄ペルセウスである。
ダナエはペルセウスが見つからないように育てたかったのだが、赤ん坊の泣き声が外に漏れて発見されてしまう。ダナエがいくらゼウスの子供だと言ってもアクリシオスは信用せずにダナエとペルセウスは木箱に詰められ、海へ流されてしまう。その木箱はセリポス島に流れ着き救助され、島の人々の好意でこの島で暮らすことになる。
やがてペルセウスは立派な若者に成長する。
セリポス島の王ポリュデクテスは母ダナエの美しさに惹かれ、何とか自分の物にしようと口説くがダナエはなかなかなびかない。ところが息子のペルセウスは母が王に口説かれていることを知らず、ある日舟に乗って海へ出る。旅を楽しんだペルセウスはある島に上陸し、海岸に横たわって体を休めていた。
心地よい眠りについた時、夢の中に女神アテナが現れペルセウスに話しかける。この夢の中で女神アテナは、暗く寒い国に住む三人のゴルゴンの話をする。髪の毛の一本一本を蛇に変えられてしまったその可哀想な女の悲しみを止めてやる気はないかとペルセウスに聞くと彼はそれを承知する。その答えに満足した女神アテナが消え去ったところでペルセウスは目を覚ます。ペルセウスは辺りを見まわして、奇妙な夢を見たものだと思った。
ある時、王宮で祝宴が開かれることになりダナエとペルセウスの母子もこれに招かれた。他の客たちは王様への贈り物を持ってやってきたが、ペルセウスには王様に献上する贈り物などあるはずがない。皆に嘲笑されたペルセウスは、
「私の贈り物は、ゴルゴンの首だ」と口走ってしまう。
口は災いの元。かねてからペルセウスを快く思っていなかった王は、ここぞとばかりに引っ込みがつかないようにペルセウスをけしかけ、ついにゴルゴンの首を持ってくる約束をさせてしまう。