『キングコング』(1933)
その後、巨大なゴリラが暴れ回る映画の企画がある事を知ったオブライエンは「モデルアニメーションならばキングコングを上手く表現できる」と制作者のメリアン・C・クーパーを説得し、モデルアニメーションによる『キングコング』製作にとりかかります。製作中止になってしまった『Creation』のストーリーをベースにして作られたこの作品は世界中で大ヒットし、全てのモンスター映画の原点となりました。現在でも最も有名なモンスター映画といえるのではないでしょうか。

もはや説明の必要もないほど有名なこの作品の最大の見どころはモデルアニメーションによるコングであることに違いないのですが、この映画はただ大きなゴリラが暴れるだけの映画ではありません。南海の孤島となかなか姿を見せないコングが潜むジャングルの不気味さ。そしてとてつもなく高い城壁の恐ろしげな雰囲気。原住民たちの祈りの儀式と壮大に盛り上がる音楽。その時代を映した映像そのものにも見所はたくさんあります。物語の中盤では、恐竜映画ではお馴染みのステゴザウルスやティラノザウルスなどが続々登場。オブライエン作品の中でもこれはぜひとも見てほしい映画です。

『コングの復讐』(1933)
『キングコング』の世界的大ヒットにより、映画公開中にもかかわらず急遽製作されることになった『コングの復讐』は、前作と同じスタッフによる正当な続編。しかし、予算は前作の半分以下で、製作元からも頻繁に干渉が入るようになり、嫌気がさしたオブライエンは撮影の後半には現場から降りてしまいます。低予算と現場の混乱により出来上がった作品はかなりトホホな物で、オブライエンが映画のクレジットに自分の名前が使用される事をためらったほど。
実際この映画は前作に比べかなりスケールダウンしており、チビコング(4メートル位か?)のサイズに合わせて、登場する恐竜まで小さいのには苦笑。人間と比べれば十分に大きいのですが、コングの声がチンパンジーの赤ちゃんと同じなのは何だか・・・。子供という事を強調したかったのでしょうが、チープさに拍車をかける結果になっています。ストーリーにも緊張感がなく、コングの息子が画面に登場するまで四十分以上。何を見せたいのかさっぱり分からない凡作になってしまいました。
原題は『SON OF KONG』(コングの息子)であり、邦題のような「復讐」といった内容ではありません。コングの息子が再びスカルアイランドに上陸した人間と仲良くなり、突然起こった大地震により海底に沈んでしまう島から人間を救出する、といった内容でした。