モゲラ

日本が誇る東宝特撮映画『地球防衛軍』(1957)に出てきた巨大ロボット。
この映画、1957年ですか。やっぱり東宝特撮はすごい、という印象。
地球を侵略しようとやってきた宇宙人と地球防衛軍の戦いを描いた作品だが、モゲラというのは地球の敵である宇宙人「ミステリアン」側のロボット。

ある村で起きた山崩れの原因の探るべく調査に訪れた渥美教授(佐原健二)と警察官。彼らの目の前で山崩れが起き、ぽっかりと開いた穴から現れるのが最初の登場シーン。
何でそんな所から出てきたのか全く不明だが、「ピー・ピー・ピー」と機械的な音を出し、目を点滅させながらゆっくりと動く姿は重量感たっぷり。頭部にあるアンテナのような物がくるくると回転しているのもポイントが高く、個人的にかなりツボ!やっぱりロボットはこうでなくちゃ。

次に現れるのは夜の山麓の街。女優の白川由美さんの入浴シーンがあり、外を通りかかるモゲラの頭部が風呂の窓から一瞬見えるのだが、これは出色の出来で短いシーンだが最も印象に残っている。ロングショットで夜の街を破壊するシーンの合成も怖ろしい程リアルで、燃えさかる町並みをモゲラがゆっくりと徘徊する場面はミニチュアが精巧に作られている事もあってかなりの重量感だ。「暗闇に光る目」というのはやっぱり怖いものです。


バズーカ砲や火炎放射器、戦車の攻撃にもびくともしなかったモゲラだが、自衛隊が橋を爆破して作った特大の落とし穴に落下。巨大な敵を退治する手段の定番である「高いところから落っことす作戦」により、モゲラあえなく轟沈。

地下から現れるミステリアンの巨大ドーム要塞や円盤群、そして地球側からは東宝特撮の定番となるパラボラ兵器やアルファ号、ベータ号などの戦闘兵器がクライマックスに向けてこれでもかとばかりに続々登場。がっぷり四つで両者一歩も引かず、といった戦闘シーンは圧巻。

最後にモゲラ(2号か?)がまた登場する。地下から現れるのだが、自分が掘った穴にパラボラ兵器が落ちてきて下敷きになりあっけなく自滅。この場面はミニチュアの人形であるのがバレバレ、見なっかたことにしましょう。

見比べてみると良くわかるのだが、ミステリアンの巨大ドームの内部のデザインは明らかに『禁断の惑星』(1956)に影響を受けてます。

その後、東宝は『宇宙大戦争』(1959)や『世界大戦争』(1961)などのSF映画を製作するのだが、出来の良さは『地球防衛軍』が一番だと思います。

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