「パペトゥーン」とは、「パペット」(立体人形)と「カートゥーン」(アニメ映画)を合わせた造語で、ジョージ・パルが自分の作品を呼ぶのに使った名称。ハリーハウゼンのダイナメーションと同じように、ジョージ・パルが手がけていなければ、それはパペトゥーンとは呼ばないのです。

ウィリス・オブライエンやハリーハウゼンの人形アニメように、骨格の入った人形を少しずつ動かして撮影するものではなく、あらかじめポーズを作っておいた人形やそのパーツを必要な数だけ用意し、それらを1コマずつ置き換えて撮影するという大変手間のかかる手法。この当時の作品は『Puppetoon Movie』というDVDで今でも見ることができます。

『Puppetoon Movie』
クローキーのガンビー君が、ジョージ・パルの短編集を紹介するという趣向のこのDVDは、これぞ人形アニメと呼ぶに相応しい映像が満喫できます。木彫りの人形がゴムのようにあり得ない形に変形するアニメーションはアーマチュアを使用したストップモーションでは絶対に表現できないもの。表情豊かに変化し、歌い、踊る人形たちの映像には驚かされます。
1作につき何千体もの人形を作らねばならないこの手法は製作期間も長く、コストも非常に高くつくので、最終的に採算に合わなくなってしまい、ジョージ・パルは特撮を使った実写映画の製作へと方向転換をすることになりました。その後、ジョージ・パルは次々と映画を大ヒットさせ、1950年代を代表する名プロデューサーとなりますが、「パペトゥーン」は後継者がいないまま、現在に至る。

1950年に『偉大なルパート』を制作。2作目にして大ヒットとなったのが『月世界征服』(1950)です。