次の作品は『魔術の恋』(1953)
アメリカの奇術師フーディニの伝記映画。前半部分は若き日のフーディニの恋愛が主題となっており、後半からはマジシャンとして成功したフーディニのマジックが次第にエスカレートしていき、最後には体調を崩したフーディニが水槽からの脱出マジックに失敗して死んでしまう?という悲劇的なラストになっていました。脱出マジックに失敗するいうのは現実とは違いますが、有名なインチキ霊媒を暴くようになった経緯も描かれており、娯楽性に富んだ映画となっています。良き理解者であるはずの妻が、いちいちフーディニのやる事に反対するのがちょっと鬱陶しい。フーディニ役のトニー・カーティスと妻役のジャネット・リーはこの当時、実生活でも夫婦でしたが、後に離婚。

それからパルは、H・G・ウェルズの原作を映画化した歴史的傑作『宇宙戦争』(1953)を制作。アマゾンの奥地を舞台に人食い蟻の大群と農園主の戦いを描いたパニック映画『黒い絨氈』(1954)を制作した後、再び舞台を宇宙に戻し、火星探検を主題とした『宇宙征服』(1955)を制作しています。

これ以降のパル作品ではなぜか宇宙を舞台にしたものがありません。
『親指トム』(1958)、『タイム・マシン』(1959)、『謎の大陸アトランティス』(1961)、『不思議な世界の物語』(1962)、『ラオ博士の7つの顔』(1964)など、地球を舞台にしたスペクタクルや、ファンタジー映画がほとんどです。