どうしてもタイムマシンを取り戻したいジョージはタイムマシンがあると思われるモーロックの洞窟へと進入しようとする。その時、サイレンが鳴り響き、一緒にいたウィーナから表情が消え、夢遊病者のようにモーロックの洞窟へと自ら入っていってしまう。後を追って洞窟へ入って行くジョージ。
ここでモーロックが、相撲の肉じゅばんを被ったおばさんのような姿で登場。このモーロックはジョージ・パル自身がデザインしたものらしい・・・
リメイク版よりもオリジナルの方が断然好きな作品なのですが、これだけは誰が見てもリメイク版の圧勝か・・・
イーロイが金髪で白人(なんと全員)であるのに対し、モーロックは緑色。美男美女(とも言い切れないが)に対し、醜悪な顔とは、まだ根強かった人種差別の現れでしょうか?悪役が全身緑色というのは特撮映画の定番で、時代を感じさせます。昔の映画にはこういうのが多いですね。
ちなみに原作でのモーロックは、猿のように俊敏で、地下生活が長いために深海魚のような大きな目は灰色がかった赤色。肌は色素が抜けて白っぽく、薄黄色の髪があごの無い頭から背中まで垂れており、蜘蛛みたいな形をした人間として描かれています。うーむ・・・これはすさまじい描写だ。人間の脳みそで考え得る最も醜悪な姿を想像すればいいという事でしょうか。
食料にさせる寸前のウィーナを救おうとモーロックと戦うジョージ。この騒ぎにイーロイ族の男性が奮起して、女の子のように「えいっ」っとモーロック族を後ろからたたく。コロンと倒れたモーロックは口から血を流してそのまま死亡・・・あれ? 見かけによらずモーロック弱すぎだが・・・
原作では、無数の世代を通じて地下に住んでいたため、モーロックはもはや地上には住めない体になってしまっているという設定。太陽を浴びていないぶよぶよした体の骨は、拳を突き出しただけで砕けてしまうほど脆くなっていたのである。小説の方は伏線が巧みで、モーロックが簡単に死んでしまっても不自然さを感じさせないのですが、映画では科学的根拠の説明が無く、姿も肉じゅばんのためコントのようなシーンになってしまいました。
奮起したイーロイ族の活躍により、モーロックの地下洞窟を全滅させることに成功したものの、タイムマシンを取り戻す事には失敗してしまう。もう自分の時代には帰れないと思ったジョージはウィーナとラブラブモード。ここで第二の人生を過ごすのも悪くないなぁ、という雰囲気。
しかしその時、炎上したスフィンクスの入り口が開き、その中はタイムマシンの姿が。ジョージはタイムマシンに駆け寄り、ウィーナを連れて帰ろうとするのだが、ウィーナがためらっている間に入り口が閉まり、ジョージだけがスフィンクスの中に閉じこめられてしまう。壁一枚隔て、ウィーナと離ればなれになってしまったジョージは襲いかかってくるモーロックの生き残りを何とか退け、タイムマシンに乗り込み、過去へ戻るレバーを引くことに成功する。