最初にレバーを反対に倒してしまい、ジョージはさらに未来へと向かってしまうのだが、モーロックが次第に風化していく様子に気がつき、過去の自分の時間へと方向を修正する。

モーロックの死体が崩れ去り、やがて骨だけになってしまう特撮は、ロウソクで作った人形をドライヤーで溶かしながら撮影したものです。

ここで、ジョージの回想は終わり、冒頭のシーンと繋がることになります。わりと普通の冒険物語で、特撮はかなりしょぼいのも事実ですが、タイムマシンの存在感はそれを補ってなお余るほどの魅力があります。

ジョージの話を聞いた友人たちは、
「こんなばかげた話は初めてだ」
「冒険談としては良くできている。君は大した発明家だ」
「本当はこの一週間何処にいた?」
「さて、もう遅い、失礼しよう。おやすみジョージ。」

・・・しかし本当にこいつら友人なのか(怒)。デービッドだけは黙って話を聞いているが、本当に不愉快。

ジョージは未来から持ち帰った一輪の花を花に詳しいデービッドに見せる。しばらく無言で花を眺めていたデービッドが黙ってうなずく。それは冬には決して咲くことのない花だったのだ。
「戻ってくれて嬉しいよ」と言うデービッドにジョージは、
「さようなら、デービッド。永遠に変わらぬ友情をありがとう・・・」
ジョージはこの時、再び未来へ旅立つ決心をしており、未来を見てきたジョージは最後まで自分の家を守ってくれたデービッドの友情に感謝していたのだ。

複雑な心理を見事に表現した二人の演技とその表情は、ドラマ部分の見どころ。

一度は馬車に乗りかけたデービッドが思い出したようにジョージの家に引き返すと、すでにジョージの姿は無く、タイムマシンを庭から研究室へと引きずった跡だけが残されていた。
それを見たデービッドは、全てを理解する。タイムマシンを研究室まで引きずったのは、スフィンクスに閉じこめられてしまったジョージが再び未来に戻ったとき、スフィンクスの外に出られるようにするためである事、そしてジョージが再び未来へ旅立ってしまった事を。

ジョージが何も用意せずに未来へ行くはずがないと思ったデービッドが、家政婦に何か無くなっている物がないか尋ねると、彼女は本が三冊無くなっていることに気づく。無くなった本が何であるかは明らかにされないが、イーロイの新世界建設を手伝い自分の世界を作るために、ジョージは三冊の本だけを持って未来へと旅立っていったのである。

「戻って来るでしょうか?」と尋ねる家政婦にデービッドは、
「想像もつかない、全世界の時間が彼の物だからね。」

デービッドが雪の中、背中を丸めてジョージの家を後にするシーンで映画は終わる。