気まじめで仕事熱心な兄ヤコブとおとぎ話が大好きなお調子者の弟ウィルヘルム(ローレンス・ハーヴェイ)という設定で、お金にならない童話ばかりに夢中なウィルヘルムに「売れる本を書け」と世間は冷たい。あのニヒルなローレンス・ハーヴェイがお調子者を演じているというだけで楽しくなってしまいます。

童話部分の一話目はウィルヘルムが自分の二人の子供の寝かせるために、仕入れてきたおとぎ話をベッドで聞かせる場面での『踊るお姫様』のお話。
若い木こりが、「毎夜靴に穴をあけるお姫様」の秘密を探り、その褒美として「王国の半分とお姫様」を手に入れるというお話で、ラス・タンブリンと『タイムマシン』のヒロインであるイヴェット・ミミューが見事なダンスを披露してくれます。

二話目は「売れる話しを書け。女の話がいい」という本屋の主人の前に、子供達を集めたウィルヘルムが、
「おとぎ話の本、欲しいかい?」
と聞き、子供達に語って聞かせる場面での『靴屋と小妖精』のお話。
クリスマス間近、働き者の年老いた靴屋は王様のクリスマスパーティ用の靴を市長や踊り子、猟師たちから注文されていたが、期日が明日に迫っているにも関わらず注文の品はまだできていなかった。気難しいが、実は心優しい靴屋のおじいさんは、近所の孤児達へプレゼントするために密かに人形を作っていて、そのために仕事がはかどらなかったのである。今日中に全部仕上げなければ処刑されてしまう。靴を仕上げようと頑張るが、疲労のため椅子にもたれかかったまま眠りに落ちてしまう。すると不思議なことにその人形たちが動きだし、作りかけの靴を仕上げてくれるのだ。目が覚めた靴屋は子供達に人形をプレゼントし、お客たちにも感謝される、というお話。

うーん、いい話だ。ここでの靴屋の人形のアニメーションはジム・ダンフォースが担当。暖かみのあるユーモラスな動きが、この童話に本当によく似合っています。