一方現実の世界は、というと・・・
二人の兄弟は公爵から依頼されて、家史を執筆していたのだが、仕事がはかどらずに苦境に陥っていた。あと二日で仕上げなければ、公爵から借りている家を追い出されて、牢屋に入れられてしまう。
慌てて公爵一族の資料を探しに出かけた二人だったが、そこでウィルヘルムはおとぎ話の名人と言われるアンナおばさんの話を聞きつけ、子供がアンナおばさんの話を聞きに行くその後を仕事そっちのけで追いかけて行ってしまう。

ここでアンナおばさんが語るのが、『歌う白骨』のお話。
これが童話部分の三話目で、騎士であるルドウィッヒとその家来であるハンスがドラゴン退治をする顛末がアンナおばさんによって語られる。

まぐれでドラゴンを退治することに成功した家来のハンスは、欲の皮がつっぱたルドウィッヒに剣で刺され、リンゴの木の下に埋められてしまう。手柄を横取りしたルドウィッヒは国へ帰り、英雄として王国半分の統治者となる。
時が流れ、羊飼いの少年がリンゴの木の下で骨を発見し、羊を導くための笛を作り吹いてみると、そこから殺されたハンスの声が聞こえてきた。真実を語るその笛を王様の前で吹くと、死んだはずのハンスが姿を現し、悪事がばれたルドウィッヒは命乞いをして、今度は彼がハンスの家来になりました、というお話。

ここで、体中に宝石が散りばめられたドラゴンが登場するのですが、このドラゴンをアニメートしたのも、ジム・ダンフォース。ユニークなデザインのドラゴンが、コミカル調に描かれたストーリーに良くマッチしています。

このドラゴンのお話を聞いた後、雨の中帰り道を急いだウィルヘルムは、石につまずきこれまでに書きためた原稿を全て川に流して紛失してしまう。

長い間雨に打たれたウィルヘルムは体調を崩したまま、公爵の屋敷を訪ねるのだが、期限に間に合わないばかりか、執筆中の家史まで紛失されて怒り心頭の公爵は、いくら詫びを入れても聞き入れてくれない。ウィルヘルムとその家族は、三日以内に家賃を払わなければ家を追い出されてしまうことになってしまい、失意のウィルヘルムは、風邪をこじらせて生死の間を彷徨うことになる。