ゴジラ(1954年版)
2008/9/6(土)
カテゴリ:SF・ファンタジー
gozi.JPG[原寸]
ここ最近、CG以前の恐竜映画の特撮手法を続けてブログに書いてきましたので、今回は具体的に書かなかった「着ぐるみによる撮影」を取り上げてみたいと思います。
着ぐるみと聞いて誰もが思い出すのが『ゴジラ』でしょう。日本の特撮映画の中でも別格、邦画SFの金字塔です。
日本で最初の怪獣映画にも関わらず、その完成度の高さには驚かされます。これ降、日本ではほとんどの特撮が着ぐるみとミニチュアで撮影される事になりました。
ゴジラと言えば、核実験が生み出した怪物ですが、円谷英二さんが最初にイメージしたゴジラは、巨大なクジラの怪物だったそうです。デザインの変更が繰り返され、最終的に原爆のキノコ雲のイメージからボコボコの皮膚を持つあのゴジラの造形が完成したというわけです。
クジラとゴリラを合わせて、ゴジラとネーミングされたのは有名な話ですね。
最初のゴジラは、大人の鑑賞に堪えうるメッセージ性を持つ映画なのですが、ここではあくまでも特撮に焦点を当てて話を進めていきます。
着ぐるみ撮影の最大の利点は、怪獣に重量感を出せるという事でしょうか。これは繊細なミニチュア・ワークの技術があってこそ。ストップモーションでは決して出せない重量感が『ゴジラ』にはあります。
何かの本で読んだ記憶があるのですが、最初の『ゴジラ』のぬいぐるみは100kg以上もあったそうです。中に入った人は動くのがやっとで、そのおかげで重量感が出たものの、撮影中に何度もひっくり返ってしまったという事です。
逆に欠点はというと・・・どうしてもそこに「人間」を感じてしまうという事かもしれません。
最初の『ゴジラ』は比較的人間の気配を感じませんが、それ以降のほとんどの作品では、怪獣の動きがどうしても人間っぽくなってしまいます。
ちなみに海外では着ぐるみによる撮影の事を「スートメーション」と呼ぶそうです。スーツという言葉からできたものでしょう。
ここで気になるのは、着ぐるみが嫌いだったハリーハウゼンが『ゴジラ』をどう思っていたのか、という事。
20年以上も前ですが、ハリーハウゼンはインタビューで『ゴジラ』について少しだけ触れています。それによると、テレビでは見た事があるそうで、最初の『ゴジラ』は面白かったと言っていました。シーンによっては素晴らしい特撮を使っていると思ったが、やはり着ぐるみは好きな撮影方法ではない、といった程度のもの。
まぁ、人形アニメ、着ぐるみともそれぞれ長所と短所があるものですが、着ぐるみではハリーハウゼンの想像力を満たす映像を作る事は出来なかったのでしょう。
◆コメント(5件)
[パラディオン]
お久しぶりです。当時の技術で恐竜(または怪獣)映画、ということであれば、個人的には@ストップモーションとC実物大のハリボテ、アニマトロニクスあたりかな、と考えます。『ジュラシックパーク』も最初はCGでなく、フィル・ティペットが担当していたはずです。映像見たことありますが、CGには及ばないもののかなりの出来栄えだったと記憶しています。プロジェクトから外され、インタビューで「人から忘れ去られたような気がし、大きな疎外感を味わった」というフィル・ティペットの言葉が心に刺さります。05/05 11:56
[na]
パラディオンさんにお聞きしたいことがあります。
もし昔の特撮で湯水のごとく使っても余るくらいの潤沢な予算と時間を使えるなら下の@からEのどの撮影方法が一番だと思いますか?
@ストップモーション
A着ぐるみ
Bトカゲ特撮
Cそれ以外の造形物(マペット、実物大のハリボテ、アニマトロニクス(ロボット)など)
自分は「湯水のごとく使っても余るくらいの潤沢な予算と時間を使える」という条件なら@のストップモーションが一番だと思います。
独特のカクカク感(フリッカー)が欠点ですが予算と時間がたっぷりあるなら\"恐竜時代(1970)\"でジム・ダンフォースが使った「手作業で一コマずつ画面に擬似的にブレを付ける」「多重露光で撮影する」、「ワセリンを塗ったガラス越しにコマ撮りを撮影したりする」という方法でフリッカーは消すことができます。
ただし重量感に関してはこの記事にも書いてある通りAの着ぐるみに軍配があがり、撮影時間も大幅に短くて済みます(中に人が入るのでデザインや動きに制約があり、ストップモーション用の人形に比べてはるかにデカいのでミニチュアを含めて本体の製作費で大きなコストが掛かりますが・・・)。
Cも着ぐるみと同様重量感があったり(実物大のハリボテ)、ストップモーションと同様デザインや動きの自由度が高かったり(実物大のハリボテやアニマトロニクス)、クリーチャーの口の動きをリアルに表現できて制作コストが比較的少なく済む(マペット)など長所があります。
なので自分は予算と時間が十分あるなら「基本的にはストップモーションで撮影。重量感が必要なシーンやわざわざストップモーションで撮影する必要性がない上に他の撮影方法の方が安上がりだったり短い時間で撮影できたりするシーンは着ぐるみなど他の撮影方法を使う。」というのが一番良いと思います。
Bのトカゲ特撮に関してですが・・・予算と時間がたっぷりある環境でわざわざ使わないですよね・・・動物愛護の観点から見ても問題のある撮影方法ですし・・・05/04 19:29
[シザース]
いやまた作られると思います。たださすがに毎年ゴジラのパラレルワールドの映画作ると混乱します。私も整理するのに時間がかかりました。ともかく新しい新作は楽しみにしてます。12/25 12:56
[パラディオン]
川北さん肝不全ですか…亡くなるにはちょっと早いですね。
ゴジラ映画は全て見ていますが、完全に設定がリセットされていたり、第1作と繋がっていたりと色々ですね。
全く私の頭の中では整理されておりませんが…
本当にもう作られないのですかね?12/12 19:11
[シザース]
言わず知れた超有名作怪獣映画。子供の頃、誰もが見た映画でしょう。
今年で60周年となり、海外、日本ともに新作の企画ありです。
この記念すべき第1作を見て、1954年夏の戦いの後、あらゆる別ルートを辿ったパラレルワールドのゴジラが楽しめます。一部賛否両論ですが。
ちなみに特技監督の川北紘一さん、お亡くなりになったそうです・・・・・・・
この人が携わった特撮は私が子供の頃からずっと大好きです。12/12 00:54
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