Creation(クリエーション・創造) |
2009-5-9 22:50 |
前回に続いてウィリス・H・オブライエンの作品を取り上げてみたいと思いますが、今回は幻の名作と言われた『Creation(クリエーション・創造)』
『Creation』は1929年頃に、『ロスト・ワールド』(1925)の続編として企画された作品で、数百枚ものスケッチや絵コンテが準備され、マーセル・デルガドが多くの恐竜のモデルを製作。
スタジオにはセットまで組まれ、製作準備に約一年間を費やしたものの、数分間のテスト・フィルムが撮影されただけで、結局製作中止となってしまった不幸な作品です。
RKOが倒産寸前だった事と、製作資金が思うように集まらなかったのが直接の原因とされていますが、『ロスト・ワールド』の焼き直しのようなストーリーがあまり評価されなかったのも製作が中止となった理由の一つかもしれません。
ほとんど撮影されていないにも関わらず「幻の名作」と言われるのは、この時に準備した『Creation』の要素を多く取り入れて、名作『キングコング』(1933)が生み出されたからでしょう。
古代生物が棲む未開の島という設定は『キングコング』も『ロスト・ワールド』も全く同じ。その中間に位置する『Creation』も当然同じ様なストーリーとなっております。
オブライエンは実力の割りに作品に恵まれなかった、とよく言われます。
ハリーハウゼンが、オブライエンは性格が優しすぎた、というような事を言っていたのを何かの本で読んだ事があります。あまり自己主張をしない人で、映画制作には向いていない職人肌の人だったとか。
確かに、運が悪かったのもあるのでしょうが、その後の作品を見てみると、いつも同じような話で、時代が変わっても恐竜映画にこだわり続けた、というのが一番大きな原因のような気もしますけど・・・
残された数分間のテスト・フィルムですが、これが結構面白い。
下の写真は、撃たれて横たわるトリケラトプスと逃げる男を追い回す親トリケラトプスです。
どちらも、『ジュラシック・パーク』に影響を与えたとされる場面で、特に下の写真は、『ジュラシック・パーク』でジープを追いかけるティラノサウルスに勝るとも劣らない大迫力のシーンになっています。
この映像は、幻の洋画劇場『ウォルト・ディズニー/ウィリス・オブライエン作品集』というDVDで見る事が出来ます。『Creation』以外にも、初期作品が数点収録されているこのDVDはストップモーション・ファン必見のDVDですが、現在ではちょっと入手困難かも。
紹介する作品、こんなのばっかし・・・
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コメント |
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コメント一覧 |
投稿者 : na
パラディオンさんはもしcreationが製作中止にならず、完成して上映されていたら、どうなっていたとおもいますか。自分は前作と同じように大ヒットしていたと思います。当時はライバルになるような作品もありませんでしたし。また、その後キング・コングが生み出されるのも史実通りだったと思います。パラディオンさんの意見が聞きたいです。
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2021/08/11 23:44 |
投稿者 : パラディオン
同感ですね。これはヒットしたと思います。テストフィルムを見ても、間違いなく前作を超えるクオリティの作品になっていたのではないかと考えます。おっしゃるとおりライバルがいませんでしたから。
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2021/08/12 07:59 |
投稿者 : na
そういえば、ウィリス・オブライエンについてですがハリーハウゼンの「原子怪獣現わる」のヒットのせいで、怪獣映画は低予算で作れるものと映画会社が誤解したせいで彼は晩年不遇でしたが(オブライエンの作風はたっぷり予算と時間をかけて作るというものだったため彼に対する風当たりが強かった)、もし、そんな誤解が生まれなかったらオブライエンは晩年あんな不遇な人生を送ることはなく、キング・コング以外にも多くの作品を生み出したと思います。また、海獣ビヒモスや黒い蠍もキング・コングほどとはいかなくても史実以上に予算がかけられ、すばらしい作品になっていたと思います。また、ハリーハウゼンの作品も史実以上に予算がかけられていたと思います(ハリーハウゼンも低予算に苦しめられたと聞きます、その証拠に同年代の映画と比較するとハリーハウゼンの作品は低予算であることがわかります)。
パラディオンさんはどう思いますか。やはり、あとの作品のことも考えて「原子怪獣現わる」はヒットしないほうが良かったんでしょうか。
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2021/08/12 12:19 |
投稿者 : na
たとえ史実通り「原子怪獣現わる」が大ヒットしたとして、どうすれば怪獣映画は低予算で作れるという風潮が広まらなかったと思いますか。
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2021/08/12 12:34 |
投稿者 : パラディオン
「原子怪獣現わる」のヒットのせいで〜のくだりは有名な話ですね。同じような事を考えた事あります。どうすれば風潮が広まらなかったか、というのはちょっと思いつきませんが、怪獣映画に限らずSF映画は安く撮れるという風潮もありましたよね。それっぽいセットを作って宇宙服をまとえばOKみたいな…。特撮にはお金がかかると思っていた自分には意外でしたが、特にテレビシリーズではそういうSFも多かったですね。SFが子供だましと思われていて、そんな作品に出演してくれる俳優さんのギャラも安かったとか、そういう時代背景もあったかもしれません。
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2021/08/12 19:43 |
投稿者 : na
ウィリス・オブライエンの英語版wikiを翻訳して読んでみたのですが確かにオブライエンの作品は完成作品も没作品も内容が同じようなものが多くてワンパターンですね(例:未開の地に古生物 or モンスターがいた)。
これでは「原子怪獣現わる」のヒットのせいで、ストップモーションは低予算で作れるものと映画会社が誤解しなくてもオブライエンは晩年、不遇な人生を送っていたかもしれませんね。
※以下は内容(未開の地に古生物 or モンスターがいた)が似たような感じのオブライエンの作品
完成作品
・ロスト・ワールド
・キング・コング
没作品
・創造(Creation)
・ウォー・イーグル(War Eagles)
・オソ・シ=パプの最後(The Last of the Oso Si-Papu)
・Umbah
・ヒヒ:イエティの物語(Baboon: A Tale about a Yeti)
・原始怪獣ドラゴドン
・霧の谷(後の「恐竜グワンジ」)
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2024/07/10 17:39 |
投稿者 : パラディオン
久しぶりにコメントきました。
ありがとうございます。
恐竜グワンジってオブライエンが原案だったのですね。
U-NEXTで配信してますね。
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2024/07/10 20:26 |
投稿者 : na
すみません。以前のコメントに間違いがありました。
「霧の谷」は「原始怪獣ドラゴドン」の元ネタです。
そして「恐竜グワンジ」の元ネタが「グワンジ(GWANGI)」です。
間違った情報を教えてしまい、もうしわけありませんでした。
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2024/12/08 12:25 |
投稿者 : パラディオン
今回はコメントありのメール来ていました。更新していないのにいつも貴重な情報ありがとうございます。
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2024/12/08 15:20 |
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