恐竜の惑星 |
2010-10-24 00:04 |
原子炉が故障した宇宙船からシャトルで脱出した乗組員たちは、近くの惑星に不時着。そこは恐竜が生息する太古の地球そっくりの惑星だった・・・
というわけで、今回は『恐竜の惑星』(1978)
タイトルそのまんま、生き残りのために乗組員たちが恐竜と戦う、といったストーリーの映画です。
恐竜のストップモーションを主に担当したのはクローキー・プロ出身で『フレッシュ・ゴードン』や『スター・ウォーズ』などにも参加していたアニメーター、ダグ・ベズウィック。
ジム・ダンフォースがマット画を提供。デニス・ミューレンは合成のアドバイザーとして参加。
それ以外のスタッフもほとんどが特撮マンで、恐竜好きの特撮マンが集まって、恐竜ファンのためだけに製作したような作品であります。
製作・監督を務めたジェームズ・K・シェアの指示により、予算のほとんどがストップモーションの特撮に費やされたというこの映画には、ティラノサウルスやアパトサウルスはもちろん、巨大クモなども含めて7〜8種類もの恐竜が登場。特にティラノサウルスは、動き、造形ともにこれまで映画に登場した恐竜の中でも最高傑作の一つ。
ディノニクス(もどき?)のような小型恐竜が登場するのは当時としては画期的だったのではないでしょうか?
全編を通して、コンスタントに登場する恐竜たち。
恐竜映画のスタンダードになってもおかしくない作品、と思われるのですが、一部のSFファン、あるいは恐竜ファンに知られるに止まっている印象です。
その理由は、映画を見れば一目瞭然
確かに恐竜の造形や動きはそれなりに良くできているのですが、ドラマ部分の酷さは、これまでに見た映画の中でも・・・、というよりもこれ以上に酷い作品を挙げる事ができません。
『猿の惑星』(1968)をパクった不時着シーン。やたらと早く沈む宇宙船。
この映画のヒロインかと思った最も綺麗な女優さんは、映画が始まってわずか五分後に恐竜に食べられちゃうし・・・
この人たち本当に役者さんなの?って思うほど不器用で滑稽な演技。未来的なスペース・スーツのつもりなのだが、痛すぎる衣装。
シンセサイザーの鍵盤を適当に押して、それらしい音をだしただけとしか思えない、やたらと耳障りな効果音。
このサイテーぶりはある意味必見ですよ! 恐竜のアニメーションを見せたいだけで、他はもうどーでもよかったとしか思えないんですけど・・・
ちなみにこの映画に登場する奇妙な形をした岩場は、スター・トレックのロケ地として有名なバスケス・ロックス自然公園。
この映画は、『原子怪獣現わる』(1953)のリドサウルスが出てくる事でも有名。
なんだか、やけに小さいような・・・、完全にティラノサウルスの引き立て役。
レイ・ハリーハウゼン自らアニメートした、という話もあるのですが、これは嘘でしょう。日本版のビデオ・パッケージにそう書かれていたことから、こんなデマが広がったのだと思われます。
やたらと気になったのが
この惑星に存在するティラノサウルスは一匹だけ、という設定で話が進んでいるとしか思えないシナリオ。
恐竜を退治するか救助を待つかで揉める一行
仮に一匹だけだとしたら、場所を移動すれば済むことだし、たくさんいるなら戦ってもきりが無いし・・・
一人、また一人と恐竜に殺され
凶暴なティラノサウルス退治に成功した時には、九人いた登場人物も五人となっていました(男三人、女二人)
そして、時は流れ
幸せそうに原始生活を送る五人と一人の子供。結局、救出されることなく月日が流れ、子供までできちゃって・・・
変なエンディング
そりゃないだろう、と思うと同時に、まぁ、こういうのもアリかな、とも。
大作映画ではありえないような結末が見られるのも低予算映画の良いところ。と、私は本気でそう思ってます。
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コメント |
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コメント一覧 |
投稿者 : modstoon
大昔に雑誌で、元々この作品はデモリールで、「映画」にする予定ではなかったと読んだ覚えがあります
そうしたわけで、自分はビデオ屋の棚で見つけたと時に変だなと思った憶えがありますよ
あんまりアニメの出来が良かったので、欲かいちゃったんじゃないでしょうか?
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2010/10/25 11:11 |
投稿者 : パラディオン
modstoonさん、情報ありがとうございます。なるほど、そうだったんですか・・・。ところで、ビデオ屋で見て変だなと思った、というのはハリーハウゼンの一件でしょうか?
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2010/10/25 19:47 |
投稿者 : modstoon
いえいえ、ハリーハウゼンについては未だ新作を手掛けてもおかしくないお歳だった筈で不思議とは思いませんでした
一目見て変だなと感じたのは、デモ用としか聞いていなかったフィルムだったからです
つまりモデルアニメに特化した内容とタイトルだけは、既に記事で知っていたわけです
だからそのような特殊なフィルムが、イヴェントなどで観る機会はあっても、よもや商用作品として販売されるとは夢にも思っておらず不思議に感じたわけです
どうも、お手間を取らせてすみませんでした
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2010/10/25 21:50 |
投稿者 : パラディオン
あー、なるほど。そういう事でしたか。わざわざ返事くださってありがとうございます。私は何の予備知識もなく見たもので。そういう経緯があったのならこの映画で感じる違和感も納得です。
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2010/10/25 22:57 |
投稿者 : na
パラディオンさんが記事内でおっしゃてるとおり、この「恐竜の惑星」という映画は特撮部分はすばらしいんですが、それに反比例するかのようにドラマ部分がひどいんですよね。
自分、この映画のキャラクターではシンディ(一番最初に犠牲になる女性)とダーナ・リー(中盤で犠牲になるへそ出しファッションの女性)に生き残ってほしかったです。
二人とも女性たちの中では美人でしたし。
とくにダーナはあの腰まで伸びた黒髪ロングストレートヘアが魅力的に感じました。
シンディも女性の中で一番かわいかったので最初に死ぬのはもったいなさすぎると思えてなりません。
逆にシンディとダーナを残して他の登場人物は全員死亡という展開でも良かったと思います。
正直他の登場人物は魅力がまったくありませんでしたし。
それからドラマパートをざっくり削って、もっといろんな恐竜をたっぷりと見せてほしかったです(特撮部分は本当にすばらしいので)。
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2024/12/11 08:25 |
投稿者 : パラディオン
久しぶりに見たくなりました。女性のキャラもほとんど覚えていないので、今夜のDVD鑑賞はこれにします。
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2024/12/11 20:00 |
投稿者 : na
昨晩のDVD鑑賞で「恐竜の惑星」を見てどうでしたか?
再視聴した感想を聞かせてほしいです。
それから僕が昨日この記事したコメント(シンディとダーナに関すること中心)に関する感想や意見なども一緒に書いてもらえると嬉しいです。
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2024/12/12 12:06 |
投稿者 : パラディオン
こんばんわ。昨日はU-NEXTでミステリー見ちゃいました。この作品見直したら、感想書きますね!
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2024/12/12 19:06 |
投稿者 : パラディオン
久しぶりに鑑賞したのですが・・・
男性陣にはあまり魅力を感じませんでした。改めて調べてみると、シンディ役の女性が一番最後にキャスティングされ、彼女がオーディションに現れた時点で他の配役が全て決まっていたため、登場させたもののすぐに殺される、という事になったようですね。
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2024/12/16 22:29 |
投稿者 : na
@以前も書きましたが自分、この映画のキャラクターではシンディ(一番最初に犠牲になる女性)とダーナ・リー(中盤で犠牲になるへそ出しファッションの女性)に生き残ってほしかったです。
二人とも女性たちの中では美人でしたし。
とくにダーナはあの腰まで伸びた黒髪ロングストレートヘアが魅力的に感じました。
シンディも女性の中で一番かわいかったので最初に死ぬのはもったいなさすぎると思えてなりません。
逆にシンディとダーナを残して他の登場人物は全員死亡という展開でも良かったと思います。
正直他の登場人物は魅力がまったくありませんでしたし。
もし、シンディ役のメアリー・アップルセスが消息不明になっていなかったら脚本が修正されてシンディは生き残れたかもしれませんね。もしくはシンディのキャスティングが初期の段階でされていたらあり得たかもしれません。
Aもしくはこの映画は登場人物をダーナとシンディの2人だけにしても良かったと思います。
恐竜を退治するか救助を待つかで揉めるという展開は登場人物が2人だけでも成立すると思いますし。
登場人物が少ない関係で史実の本編以上に強引なストーリーになったかもしれませんが、元からひどいストーリーなのでそこまで評価は変わらなかったと思います。
それから役者が2人だけなら史実みたいに役者のギャラが分割払いになったりせず、2人にギャラを一括で支払えていたと思います(役者が史実の9人から2人に減っているので)。
他にもストーリーはダーナとシンディが恐竜を退治するか救助を待つかで揉めるが最終的には和解して一緒に肉食恐竜を倒した後に無事に救助の宇宙船が来て恐竜の惑星から2人とも脱出してハッピーエンドという展開にしてほしかったです。というかその方が良かったと思います。
パラディオンさんは@とAについてどう思いますか?
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2024/12/20 11:54 |
投稿者 : パラディオン
@ほとんどの人がそう思うかもしれませんね。わたしも完全に同意ですね。実際撮り直しするためにメアリー・アップルセスに連絡を取ろうとしたら消息不明になっていたとの事ですから。男性陣の魅力のなさもよく言われていますよね。誰だったか忘れましたが、AV男優にしか見えないと言っていた人もいました。
Aも全然アリだと思いますよ。少ない登場人物で救助を待つ、という作品もたくさんあります。『火星着陸第1号』や『第5惑星』、新しいところでは『月に囚われた男』など。登場人物が少ない分、ストーリーが工夫されている印象があります。
何だかテストされているみたいですけど、私の感想はこんなところですね。
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2024/12/20 21:19 |
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そうしたわけで、自分はビデオ屋の棚で見つけたと時に変だなと思った憶えがありますよ
あんまりアニメの出来が良かったので、欲かいちゃったんじゃないでしょうか?