最後の海底巨獣 |
2009-9-5 22:37 |

最後の海底巨獣(1960)の舞台はカリブ海。海底で氷漬けとなっていたティラノサウルス(アロサウルスかな?)とブロントサウルス、そして一人の原始人が発見され海岸に引き上げられる。二頭と一人が落雷のショックで蘇り、孤立した島で大暴れ・・・とまぁ、こんなストーリーの映画です。
何度かテレビで放送されていましたね。もう二度と見る事もないだろうなぁ、と思っていたら最近DVD化されました。
お笑い、コメディリリーフ的な扱いの原始人、その原始人と少年の友情物語、恐竜や原始人で一儲けを企む権力者の存在、そしてトホホな出来栄えの特撮・・・あらためて見てみると、絵に描いたようなB級娯楽作品ですね、これは。
まぁ、ストーリーなどどうでもいいです。
この作品の見どころは、やはりストップモーションで動く恐竜たち。クライマックスの恐竜vs重機の戦いももちろんストップモーションで撮影されています。
イフェクツ・アドバイザーとして、ストップモーションの生みの親、『キングコング』のウィリス・オブライエンが参加。恐竜の造型はやはり『キングコング』を造型したマーセル・デルガド。そして、実際に特撮を担当し恐竜をアニメートしたのは、プロジェクト・アンリミテッドのメンバー達。
プロジェクト・アンリミテッドというのは、ジョージ・パルのパペトゥーンのスタッフだったジーン・ウォーレンとウォー・チャンが設立した会社で、あの、ジム・ダンフォースも関わっており、ティム・バーやジョージ・パルの息子デイヴ・パルもそのメンバー。
ジョージ・パル作品をはじめ、『アウターリミッツ』などの特撮も手がけた60年代を代表するイフェクツ工房で、『タイム・マシン/80万年後の世界へ』(1960)ではアカデミー特殊効果賞を受賞。
この映画の為に集結したメンバーの凄いこと!
しかし、
恐竜たちの動きはぎこちなく、その造型は玩具のようでとてもマーセル・デルガドの作品とは思えない。
これは一体どうした事か?
この映画のプロデューサーは低予算映画専門ジャック・H・ハリス。
ハリスはもともと時間と費用のかかるストップモーションには反対で、ウィリス・オブライエンとは対立。しかし、ジョージ・パルに紹介されたプロジェクト・アンリミテッドにもストップモーションを勧められ、仕方なくこの作品でストップモーション採用したという経緯があったのです。
これらの事実から推測すると、メンバーは揃ったものの、ストップモーションで撮影するには時間も予算も無かったという事でしょう。
どんなに優れたイフェクツマンを揃えても、予算がなければこうなってしまうのですよ、とこの作品は私たちに語りかけているようです。

なかなかいい味だしている作品だと思うのですが、はっきり言ってしまえば、わざわざ好んでB級映画を見たがる人にしか楽しめない作品でしょう、私のように・・・
|
(トラックバックURL) http://palladion.fantasia.to/step_blog/archive_127.htm
|
コメント |
|
コメント一覧 |
|
トラックバック一覧
|
|