続・禁断の惑星/宇宙への冒険 |
2011-4-11 22:44 |

今回は名作『禁断の惑星』(1956)の続編『続・禁断の惑星/宇宙への冒険』(1957)
ロビー・ザ・ロボットがその後に出演した映画、としてのみ語られる事が多い作品です。
そういえば、禁断の惑星のリメイクの話はどうなったのでしょうか?
えーと
映画の舞台は、とある軍の研究施設。
地下9階に設置された巨大な軍事用コンピュータが自我を持ち始め、手始めに科学者の子供ティミーを洗脳し、解体されていたロビー・ザ・ロボットを組み立てさせる。
ロビーを配下に加えたコンピュータはティミーを人質にし、人工衛星を乗っ取り、世界を支配しようと企てる・・・
といった話なのですが
まずこの作品の舞台は未来ではなく「現代」
で、何故ロビーが20世紀にいるのか、というと
タイムマシンを完成させた科学者が、23世紀からロビーを現代につれて帰ってきたそうです・・・

あからさまに二匹目のドジョウ狙いであるこの映画
それでは、作品の出来はどうなのか、というと
うーん・・・
この作品を見て最初に頭に浮かんだのは、子供だましという言葉。
ロビー・ザ・ロボットの人気にあやかって
となると、やっぱりこの程度の映画になってしまうものなのかなぁ、と
この時代に本格的に「意思を持ったコンピューターの叛乱」を描いているのは他に類を見ないので、それだけでも凄い事なのですが・・・
前にも書きましたけど、1957年といえばスプートニクが打ち上げられた年ですね。
自我に目覚めたコンピューターと人工衛星を結びつけるというアイデアや設定は悪くないけど、演出と脚本がそうとう悪いんだろうなぁ、といった印象。名作になれる要素を持った作品だっただけにちょっと残念。
鑑賞していて感じる違和感、違和感、違和感・・・
これがこの映画の特徴といってもいいほど
たとえば
ロビー・ザ・ロボットという明確な証拠があるにも関わらず、未来旅行を信じない人々
23世紀からやってきたロボットを研究もぜすにほったらかしの科学者たち
そのロビーよりも現代のコンピューターの方がはるかに優れているという設定
ロビーが動き出しても全く興味を示さない科学者や軍人たち
ティミーの母親に至っては
「さっさと出て行きなさい、シッシッ!」
理解不能なシュールなコントでも見させられているような気分になります。
コンピューターとの接触により何故か天才少年となるティミー
天才になった子供に驚きもしない父親
ロビーが作った飲み薬で透明になるティミー少年
それでも
「まぁ、そのうち元に戻るだろう」と言いながら、奥様とベッドで戯れる呑気な父親
などなど
登場人物全員の頭がおかしいとしか思えないほどの酷い脚本・・・
さらに
次なる犠牲者に忍び寄る影
アンテナがクルクルと回転してるんですけど・・・
こういった演出も、愛嬌たっぷりのロビー君ではまるで迫力に欠けます。

そういえばこのティミー少年役のリチャード・エヤー
『シンバッド七回目の航海』(1958)で、妙に気の抜けたランプの精を演じていた子でした。

さて、悪の手先となったロビー君ですが
映画のラストでは、ロビー君が鉄人28号的な存在(良いも悪いもリモコン次第)から、鉄腕アトム的な心を持ったロボットに変化するシーンが描かれています。
無理やりロビー君をヒーローに仕立て上げ、少年との心の交流を描いたという、なんとも他愛ない作品でありました・・・
この映画で嬉しかった事!
それは映画の冒頭
タイムマシンで23世紀から戻った科学者の研究室の壁に『禁断の惑星』のクルーたちの絵が飾ってあった事。

その後、無事地球へと帰還できたんだなぁ、と
でも、よく未来の人がロビーをすんなりと渡したものですね。
実はこれがこの映画で最初に感じた違和感だったのですけど・・・
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コメント |
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コメント一覧 |
投稿者 : たあ
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ポスターは見たことがあったのですが作品は未見です。原題と邦題のギャップに唖然ですが・・・ しかも「続・禁断の惑星」とは(苦笑)
管理人さんの仰るとおり、ロビーの出来があまりにもよろしかったのでもう一稼ぎしてもらおうという目論見だったのでしょうか?
現在はそのような事は無いでしょうが、SF映画で子供を主役級にすると碌な映画が無いように思うのは私だけ?
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2011/04/12 19:02 |
投稿者 : パラディオン
原題からも分かるとおり、あくまでも主役は透明になった少年なんですよね。禁断の惑星とロビーが大好きな私の率直な意見としましては・・・
この映画は不要(笑)
子供が主役級で良い映画って思い浮かばないですね・・・
「光る目」とかは別格かな?
そもそも私の場合、SFに子供が絡むのってあまり好きではないのです。「ジュラシックパーク」シリーズなど、子供が出てこなければ本当に良い映画なのに、って本気で思っているほど。
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2011/04/12 21:00 |
投稿者 : たあ
[mail]
全く同感です。
「エイリアン2」も女の子がキャアキャア悲鳴をあげているのだけ記憶に残ってます。
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2011/04/12 23:08 |
投稿者 : パラディオン
ハハハ、エイリアン2はキャーというよりも「ピィィー」って感じで本当に耳障りでしたね。
まぁ、こういった演出が必要だという考え方もあるのでしょうが、自分は苦手です。
悪役としての「政府」(権力を振りかざす連中)も苦手・・・
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2011/04/12 23:40 |
投稿者 : スダール
初めまして、ぼくはこの映画を廃盤ビデオで500円で売ってた時そく買った作品です。
内容はともかく、偉大なるコロッサスとガーディアン(地球爆破作戦)とその他人類に闘いを挑んだロボット・コンピュータの大先輩ってことで好きです。
でも、せっかくレス・バクスターが音楽担当なのにいかにもB級SF映画(ティミーが機械仕掛けの凧で飛ぶシーンは別)なのが残念・・・ほとんど某作曲家と変わりません・・・
で、一番燃えたのはロケットの発射シーンでロケットの発射でなぜかガラスが割れる発射室?(近過ぎだろ・・)と銃は打つな!!って言うのに近くのミサイルは発射してしまう点・・・たしかビデオの裏の解説は宇宙人が侵略!!ってきな事が書いてた気がします・・・出てきませんが・・・
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2011/04/13 00:44 |
投稿者 : esme
>ロビーが動き出しても全く興味を示さない科学者や軍人たち
>ティミーの母親に至っては
>「さっさと出て行きなさい、シッシッ!」
ある意味、「ドラえもん」の先駆けですね(笑)
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2011/04/13 09:20 |
投稿者 : タノQ
[home]
子どもを主役としたSF作品なら
A.I.
けっこう出来よかったと思うですが。
まー展開や後味とか具合よくないところ、あるけれど。
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2011/04/13 17:46 |
投稿者 : パラディオン
スダールさんはじめまして。「地球爆破作戦」の緊張感には遠く及びませんが、もしかしたらロビーの存在を除けば、この点がこの作品の唯一の価値かもしれません。ガラスが割れるシーンも明らかにおかしかったですね。普通に発射しても割れていたって事でしょう?これほど脚本が穴だらけの作品も珍しいです。ビデオのパッケージには「ロビーが異星人を相手に大活躍」と書いてありますね。この時代のビデオって平気で嘘を書いてあるものがすごく多いです。
esmeさんコメントどうもです。
言われてみれば、完全に「ドラえもん」状態でした。もしかしたら意図的なものだったのか?という考えが頭をよぎってしまいました。真面目に練った台本だとしたらあまりにも酷すぎるし、どうなんでしょう?
タノQさんが挙げられたA.I.
この作品自体は私は好きです。たあさんのコメント読んだ時、真っ先にこの作品を思いついたのですが、ハーレイ・ジョエル・オスメント君があまり好きではなかったので・・・。ただ、演技力に心底脱帽した数少ない子役の一人ではありました。
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2011/04/13 20:44 |
投稿者 : たあ
[mail]
「A.I.」
主人公は「子供」であり「ロボット」なんですよね。
もし、スタンリー・キューブリック自身が監督していたら・・・・
とはいえ企画当初から監督はスピルバーグで自身は製作にまわる予定だったらしいですが。
スピルバーグで思い出した・・・
2005年版「宇宙戦争」も子役の女の子がうるさかった。原作の描写通りトライポッドなんだが、やはり1953年版のマーシャン・ウォーマシンの不気味さに軍配が上がりますね。
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2011/04/13 23:12 |
投稿者 : スダール
ご存じでしたか?この映画のすごいところはなぜか日本で公開されたとき日本語吹き替えで公開されたそうです・・・
ちょっと・・・いやだいぶ見てみたいぞ日本語吹き替え版 宇宙への冒険・・・
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2011/04/14 05:36 |
投稿者 : パラディオン
スピルバーグ監督の「宇宙戦争」ってあまり印象に残っていないんですよね・・・主人公に敵の弾が当たるはずも無く、安心しきって見ていた記憶があります。「マイノリティ・リポート」あたりから何となく自分の趣向に合わなくなってきたような?
スダールさんの言う日本語吹き替えで公開されたって、この『続宇宙への冒険』の事ですか!?私はテレビで見た記憶も無く、レンタルで初めて見たので吹き替えの存在自体知りませんでした。
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2011/04/14 21:30 |
投稿者 : 浅海義大
[mail]
この映画の当時のポスターを所蔵しています。
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2021/10/18 12:39 |
投稿者 : パラディオン
羨ましい限りです。こっちはポスターは持っておらず、すべて拡大印刷で部屋のあちこちに額に入れて飾っています。
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2021/10/18 20:54 |
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管理人さんの仰るとおり、ロビーの出来があまりにもよろしかったのでもう一稼ぎしてもらおうという目論見だったのでしょうか?
現在はそのような事は無いでしょうが、SF映画で子供を主役級にすると碌な映画が無いように思うのは私だけ?