| 巨大生物の島(1976) | 
 | 2012-11-25 22:13 | 
 |  『巨大生物の島/巨大ネズミの襲撃』(1976)
 
 えー、これはバート・I・ゴードン監督の動物パニック映画。
 
 しかし、2週ぶりの更新でこの作品とは・・・
 
 この島の生物は化け物だ! 農場から湧き出る物質を食べて巨大化したハチやニワトリやネズミの大群が人間を食い殺そうと襲ってくる! SFホラーの名職人監督バート・I・ゴードンが1976年に放ったヒット作がこれだ。
 
 とビデオの裏側に書いてあるのですが・・・
 
 舞台はとある離島。主役(襲われる人たち)は休暇でやってきたフットボール選手のモーガンとその一行。
 地面から湧き出た「謎の白い液体」を飲んだ動物が巨大化し観光旅行にやってきた人々を襲う、というシンプルなお話。
 
 この白い液体が原題でもある「神様の食物」(THE FOOD OF THE GODS)というわけです。
 
 昔テレビで放送されましたね、これ。懐かしいです。何度も放送された『巨大蟻の帝国』と違って一度しか見た記憶がありませんが、映画の冒頭からこれでもかとばかりに登場する巨大生物は迫力満点であります。
 
 トカゲに背びれをつけた恐竜などに感じた脱力感はあまりなく、この作品はかなりのインパクトでした。
 
 
  蜂、鶏、芋虫、ネズミ。芋虫がやけにリアルなんですけど・・・
 
 ところで
 
 バート・I・ゴードン監督を崇拝している人っているのですかね?
 
 ひたすら接写と合成のみのシンプルな特撮。
 
 他の映画監督がこの人の事をどう思っているのか聞いてみたいものです・・・
 
 まぁ、サービス精神が旺盛に感じられるのはこの監督さんの良い所かもしれません。ある種の熱意というか、作品に対する情熱のようなものを感じてしまうのですが・・・これって勘違い?
 
 蜂、鶏、芋虫はあくまでも巨大ネズミが現れるまでの伏線に過ぎず、映画の後半は主人公たちと巨大ネズミとの生き残りをかけた戦いが繰り広げられます。
 
 
  (((( ;゚д゚)))アワワワワ
 
 鉄砲で撃たれるネズミ
 
 爆破されるネズミ
 
 感電するネズミ
 
 溺死するネズミ
 
 現在だったら造作なくCGで描ける描写も全て実写。
 
 あの、完全に裏返って水に浮いてるのがいるんですけど・・・
 
 ネズミたちに演技指導できるハズもないし、撮影の現場ってどんな空気だったのでしょうか。
 
 撃たれるシーンはペイント弾っぽいですね? 実弾でないとしても衝撃で吹っ飛んでいるし、痛みで逃げ回るネズミが痛々しい。
 
 まぁ、野生のネズミって今でも駆除される運命とはいえ、今見るとさすがに可哀そうでなりません。自分の子供時代を思い出してみるとやっぱり残酷だったんだなぁ、と感じます。自分自身結構酷い事した記憶もあるし(汗)
 
 今となっては残酷描写ばかりが気になってしまうのですが、作品の出来自体はそれほど悪くないと思っています。
 
 見慣れた生物なので陳腐に見えてしまうシーンもありますが、合成とカメラアングルが上手く決まった時などは尋常ではない迫力を醸し出していました。
 
 ひたすら生物を巨大に見せる事に徹したMr.BIGの面目躍如、と言いたいところですが・・・
 
 
  ( ̄" ̄;)・・・
 
 ここでも裏返って浮いてるのが・・・。関心ばかりもしてられないし、困った作品ですね、これ。
 
 散見される御都合主義はさておき、ホラーっぽいロケションや作品のテンポはそれなりに良かったし、役者さんの演技も良かったです。『スタークラッシュ』 (1978)ではなんだか滑稽な印象だったマージョー・ゴートナーもこの作品では真に迫った演技を見せてくれてます。
 
 実寸大のネズミ思いのほか良く出来てたし、ラストもなかなかのインパクト。
 
 容器から流れ出した「神様の食物」を牛が口にし、子供たちが給食で牛乳を飲むというシーンで映画は終わり。
 
 
  子供のアップの静止画にエンドロールがかぶさる静かなエンディング。これから起こるであろう悲劇を想起させるラストにはゾッとさせられました。
 
 色々な意味での衝撃作。残酷描写はともかく、パニック映画としては及第点以上の評価でも良いかと。
 
 実はこの作品がMr.BIGの代表作なのではないか、とも感じているほど・・・
 
 今となっては(昔から?)「動物虐待映画」と言っても良いのでしょうが、当時の大人たちはいったいどんな思いでこの映画を見ていたのでしょうか?
 
 相当叩かれたという話も聞いた事が無いし(私が知らないだけ?)やっぱりネズミだから同情されなかったのか・・・?
 
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     | 投稿者 : たあ 巨大生物ものと言ったらこの人ですね(笑)しかし、H・G・ウェルズ原作の映画化はどうしてヘンテコ映画になってしまうのでしょうか?
 
 しかも、最後は「巨人の惑星」のプロローグですか(笑)
 
 「SF巨大生物の島」と言う別物もあるので非常にややこしいです。
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     | 2012/11/25 23:02 |  
     | 投稿者 : パラディオン 「SF巨大生物の島」は私の敬愛するハリーハウゼンの作品ですね。冒険心に溢れた良作のSFアドベンチャーでした。この作品はH・G・ウェルズ原作といってもアイデアを拝借した程度でしょうか。
 原作が違うのにどちらも「巨大生物の島」と訳されているのは確かに紛らわしい。
 そういえば、誰の作品だか忘れてしまいましたが、コメディタッチの作品で人間が大きくなる映画ってありましたね。巨大化する際に服が破けたりして・・・
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     | 2012/11/25 23:24 |  
     | 投稿者 : たあ 「SF巨大生物の島」はジュール・ヴェルヌの原作でしたね。 ヴェルヌ作品の映画化は良作が多いのに… |  
     | 2012/11/26 23:29 |  
     | 投稿者 : パラディオン 同じSFの父という事で良く比較、あるいは一緒に取り上げられたりしますね。作風とか違うのに。そういえば、子供の頃ってヴェルヌばっかり読んでいた記憶が・・・
 ウェルズは中高生になったあたりから、と記憶してます。
 今でもたまに混同しますけど(笑)
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     | 2012/11/27 19:44 |  
     | 投稿者 : シザース ガメラを製作する前に大群獣ネズラという巨大ネズミの映画が公開予定でしたが衛生上の問題で失敗作となりました。もしかしたらネズラもこんな映画になったかもしれませんね。
 その場合、10年早く巨大ネズミの映画が日本でやった事になりますので。
 映像見る限り、動物虐待丸出しですからね・・・・
 
 ネズラはヒッチコックの鳥に影響されて製作開始されたもので、
 今度は巨大な鳥(ラドンやギャオスのようなコウモリ型の怪鳥ではない)でこういうのやってほしいもんです。
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     | 2014/09/17 02:23 |  
     | 投稿者 : パラディオン シザースさん、こんばんわ。あー、その映画聞いた事あります。手元の本には、「生きたネズミを扱いきれずにお蔵入りした…」とだけ書いてありますが。
 しかしシザースさんも凄いマニアックな事知ってますね・・・
 ギャオスといえば、最近の日本の特撮事情はどうなんでしょうかね? 相変わらず外国製SFはかたっぱしから見てますが、日本映画はご無沙汰状態です。未だに平成ガメラが好きだったりします。
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     | 2014/09/17 20:46 |  
     | 投稿者 : シザース 返信ありがとうございます。私、気づかない内にそんなマニアックになっていましたかwwwwwww
 さらに調べたところ、日本初の生きたネズミをそのまま使った接写映像を合成する特撮技法を用いて撮影する予定だったようです。
 最初はぬいぐるみを使う予定でしたが後にガメラを造る造形スタッフが制作依頼を断ったため、企画は生きたネズミを使うという事になりました。しかし、生きたネズミを使う事は困難を極めその連続でした。命のない着ぐるみに命(演技)をふきこむ事とはワケが違いました。あの手この手でネズミを動かすも意のままにならず、とうとうダニ、ノミ、シラミが大量発生。ネズミも衛生管理の問題で死んだり、共食い、脱走などで近隣住民の苦情殺到。果ては保健所からも警告、ついには組合問題にまで発展しました。これにより撮影続行は不可能、企画中止となりました。死んだネズミは近くの寺社で供養したとの事です。美術スタッフの中にはダニアレルギーの人がいてこの方は瀕死になり入院。この方は後の仮面ライダーにも参加。ネズミの怪人には絶対関わらなかったようです。
 
 この映画もネズミたちを見る限り、撮影は手段を選らばなかった・・・みたいですね。今だったら絶対できないです。
 ちなみに着ぐるみの巨大ネズミと言えば、東宝の緯度0大作戦の大ネズミがいます。こちらも人間が巨大化させたもの。この映画、緯度0大作戦・・・・・・・いずれもネズラの撮影がうまくいっていたらこうなっていた(前者は生きたネズミ、後者は着ぐるみ)と思ってしまいます。
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     | 2014/10/25 22:33 |  
     | 投稿者 : パラディオン おぉ、今回もさらにマニアックな情報ありがとうございます(笑)大変興味深く読ませていただきました。緯度0大作戦は大好きな作品でこのブログにも書いております。この映画のレベルのネズミがたくさん出てくるなら企画倒れになって正解のような気も…。
 「今だったら作れない映画」って褒め言葉で使われる事が多い気がしますが、この映画の場合は不名誉な理由ですね…
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     | 2014/10/25 23:17 |  
     | 投稿者 : 9 今晩は、9です。私がこの「巨大生物の島」という
 ホラー映画を見たのは、幼稚園に
 通ていた頃で現在は故人の
 水野晴夫氏が司会をしていた
 金曜ロードショーでした。
 巨大なニワトリが人を襲うのは、
 問題はなかったのですが、
 強大なネズミは話は別で
 このホラー映画いこう私はネズミが
 大嫌いによく覚えています。
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     | 2018/02/13 22:13 |  
     | 投稿者 : パラディオン 9さん、こんばんわ。幼稚園の頃のこと良く覚えていますね。
 私も幼稚園の記憶ははっきりとあるのですが、映画等の記憶は全くなく、覚えているのは友人との会話等です。
 ネズミといえば、ハツカネズミを飼っていたことがあって、とても可愛かったです…。
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     | 2018/02/13 22:43 |  | 
 
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しかし、H・G・ウェルズ原作の映画化はどうしてヘンテコ映画になってしまうのでしょうか?
しかも、最後は「巨人の惑星」のプロローグですか(笑)
「SF巨大生物の島」と言う別物もあるので非常にややこしいです。