前回の続きです。上の写真は問題の第四の航海の挿絵ですが、女性を殴りつけるシンドバッドが描かれています。この挿絵の意味するところは・・・
シンドバッドが航海に出発する理由はいつもと同じ。暴風により船は沈み、シンドバッドはある島に打ち上げられます。ここではグール(食屍鬼)を主とした邪教徒に遭遇しますが、難を逃れてこの国の王様に出会います。馬の鞍を作って大儲けし(馬の鞍という物が存在しない国だった)、王様の世話で妻をもらいました。
シンドバッドはこの時点で一度結婚していたのですね。
そして、歓楽の限りをつくした生活を送るのですが、この国には、シンドバッドには受け入れがたい、ある決まり事があったのです。
これが問題の発端。
この国では妻が最初に死ねば、生きている夫を一緒に埋葬し、夫が先に死んだ場合は妻を一緒に埋葬するという決まりがありました。要するに再婚は出来ない、死後であろうと誰も夫婦の仲を裂く事は出来ないという理屈なのです。
シンドバッドの妻は病気で先に死んでしまいます。
水を一ビンとパンを七切れを与えられたシンドバッドは、妻と一緒に洞窟に生き埋めにされてしまいます。そこには先に生き埋めにされた夫婦の死体がたくさんありました。
シンドバッドはこの危機をどうやって逃れたのか。ここからの描写は最悪・・・
パンと水があるうちは数日間は生き延びる事が出来るわけで、そうやってなんとか死なずにすんでいると、次の夫婦が洞窟に埋葬されてきました。
埋葬した地上の人々はシンドバッドが生きている事に気付かずに、生きている妻とその夫の死体を洞窟の中に残して立ち去ります。
シンドバッドはこれ幸いと、死骸の足の骨を手にとって、女のそばに近づき、いきなり脳天を殴りつけました。気を失って倒れた女を二度、三度と殴りつけ、息が止まったのを確認するとパンと水を奪い取ったのです。
なるべく食料を長持ちさせるように努め、こうして長いこと、洞窟に放り込まれた人間を次々と殺めては、食料と水を奪い、命をつなぎとめていたのです。
(((( ;゚д゚)))ガクガクブルブル
上の挿絵はこのシーンのものなのですが、どーですかこの話。あのシンドバッドが・・・というよりもこっちがオリジナル。
洞窟に迷い込んだ一匹の野獣を追いかけて、出口を発見して助かるのですが、その時シンドバッドの手には宝石がどっさり。この国では女性は綺麗にして埋葬する習慣があったので、死骸の首飾りや宝石、装身具をごっそり拝借してきたというわけ。
島の外れに逃げ延びて、通りがかりの船を見つけてバグダッドに帰り、島での出来事は隠し、元通りの道楽三昧の日々を送るのです。
映画のシンドバッドからは想像も付かないような恐ろしい話ですが、これもアラーのみ心なのだとか・・・
まぁ、考え方によってはどうせ死んでしまうのだし、生き延びるためには仕方なかったのかも知れません。
シンドバッドのスタンダード作品は何か、という趣旨で書き始めたのですが、果たして該当作品はあるのでしょうか。シンドバッドのイメージが音を立てて崩れ落ちて行きます。
おそらく、次回で最後・・・
明後日か、一週間後辺りには書きたいと思っております。