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ブラックホール(1979年ディズニー版)
2010-3-14 22:18
『ブラックホール』の舞台は2130年の近未来。NASAの小型探査船パロミノ号が巨大宇宙船に遭遇。それは20年前にブラックホールの調査に出かけ、帰還命令を無視したまま消息を絶った実験船シグナス号である事が判明。ドッキングに成功したクルーがシグナス号内部で出会ったのは、天才科学者ラインハートと彼によって作られたロボットたちだった・・・
2000万ドルの制作費は、当時としてはディズニーの歴史が始まって以来の最高額。150箇所以上にも及ぶマット・アートはこれまた当時の新記録。
この映画で最も印象に残っているのは、
テレビや雑誌での大々的な宣伝と、公開後の評判の悪さ・・・
明らかに『スター・ウォーズ』(1977)の大ヒットで巻き起こったSFブームに乗っかる形で作られたこの作品は、興行的にも失敗し、公開直後から現在まであらゆる雑誌で酷評されてきました。未だにDVD化も無し。
まぁ、その評価も分からなくもないです。
ただ、
前評判とのギャップ、そしてどうしてもディズニーというフィルターを通して見てしまう事によって必要以上に評価を下げている気がするんですけど・・・
たしかに見ていて、ちょっと痛い、というか苦笑させられるシーンが多いのも事実なのですが、単純に面白いと思うんですけどねぇ、私は大好きな映画です。
これほどSF的な要素を詰め込んだ映画も珍しいでしょう。大金をかけた意欲作である事は間違いなく、見どころもたくさんあります。
まずは『007シリーズ』で有名なジョン・バリーが担当した音楽。オープニングのテーマ曲は、それだけで作品に引き込まれるほどの迫力がありました。
全てが宇宙でのシーンであるというのいもイイですよね。
この作品で特撮を担当、「シグナス号」をデザインし、マット・アートを描いたのはピーター・エレンショウという人。ディズニー初の実写映画を作り始めた時のメンバーで、ディズニー作品で多くの特撮を手掛けています。
全てのシーンが宇宙空間という事は、ほとんどのシーンでピーター・エレンショウのマット画が使用されているという事です。
下はその一例ですが、なんと美しいこと・・・
映画の前半、それまで沈黙していたシグナス号が、クリスマス・ツリーのように輝くシーンは鳥肌が立つほど感動しました。
たくさんのロボットが登場するのもこの映画の特徴。引力を遮断するシステムのおかげで、空中をふわふわと移動する姿が印象的でした。
「マクシミリアン」は映画に登場する悪のロボットの中でも、最も奇怪で冷酷な印象を与えたロボットのひとつ。
漫画っぽい動作で、映画全編で愛嬌を振りまいていた「ヴィンセント」
エスパーとヴィンセントがテレパシーで通信するシーンはB級SFの匂いが・・・
『宇宙空母ギャラクティカ』のサイロンっぽい歩哨ロボット
ラインハート博士が作ったというロボット軍団の不気味さは秀逸。ロボットの仮面をそーっとはがすシーンは結構ドキドキしました。
その正体は、博士に改造され意思を奪われたシグナス号の乗組員の成れの果て・・・これは怖かった。
俳優さんたちはユニークな顔ぶれ。お遊びで若い頃と比較してみます。
上から
マクシミリアン・シェル
『遠すぎた橋』(1977)
アンソニー・パーキンス
『サイコ』(1960)
あまり印象は変わりません
イヴェット・ミミュー
『タイム・マシン/80万年後の世界へ』(1960)の時は18歳
『ブラックホール』の時点では37歳のはずですが、ちょっと老けすぎかな・・・
アーネスト・ボーグナイン
マーティ(1955)
この人にも若い頃があったのですね
充実しているのかミスキャストなのか微妙な配役・・・
最後に、この映画の舞台となった、ブラックホールについてちょっと。
だれでも知っているとは思いますが、ブラックホールとは重力が強過ぎるため、光すら脱出することができない星の事です。光さえ出てこられないので、黒い穴(ブラックホール)にしか見えず、観測することもも不可能。
それではどうしてその存在を知る事ができるのか? というと、ブラックホールが周囲に及ぼす影響、周りの空間の歪みなどを観測する事によって、その存在を予測する事ができるというわけです。
この映画では、どのブラックホールが舞台になっているのか明かされていませんが、登場する宇宙船の名前は「シグナス号」でした。
シグナス(Cygnus)とは日本語では「はくちょう座」を意味します。このはくちょう座にある「シグナスX-1」がブラックホールではないかと考えられている星の一つなのです。
これらの事実から考えると、
もしかしたらこの映画の舞台は「はくちょう座」では、と思ったら太陽系からの距離は約6000光年だとか・・・いくら壮大な物語の作品でも、ちょっと無理がありました。
ド迫力のクライマックス、ブラックホールへの突入シーン。
どうしてこの作品が失敗作扱いなのか不思議!?
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