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ほら男爵の冒険


ホームページではレイ・ハリーハウゼンの作品を紹介していますが、取り上げる機会のなかった話をブログで書いてみたいと思います。

映画の世界では、お蔵入りとなって日の目を見ることが無かった作品というのは沢山あります。
もちろんハリーハウゼン作品もその例外ではありません。

というわけで、今回はハリーハウゼンが熱望していたにも関わらず、映画化が実現しなかった『ほら男爵の冒険』を取り上げてみます。

ハリーハウゼンがこの作品の実現を考えていたのは1940年代。50年代までのハリーハウゼンはモンスター映画のイメージが強いのですが、やはりファンタジー作品を作りたかったようです。ほらふき男爵の冒険物語はハリーハウゼンにとって魅力的な素材だったのでしょう。

『ほら男爵の冒険』は何度か映画化されていて、現在最も有名なのは、テリー・ギリアム監督作品の『バロン』でしょうか。これもお勧めの映画。とても面白かったです。

上の写真はハリーハウゼンによる、ほら男爵ことバロンが月面の巨人と対話するシーンのテスト映像です。

これまで、人形がしゃべるシーンといえば、パペトゥーンの技法を使用したものが主流でしたが、それをぎこちないと感じていたハリーハウゼンは、このシーンをストップモーションで撮影しています。

パペトゥーンの技法に関してはホームページのジョージ・パルのページを参考にして下さい。

ゴム、スポンジ、ラテックスを使用して作られた顔のモデルの大きさは20センチほどで、唇やほお、まぶたまで動かせるほど精密に作られています。

こうして見事な対話のシーンが出来上がったのですが、あまりにも時間がかかりすぎて、作業が大変だったため、これ以降のハリーハウゼン作品でも「ストップモーションでリアルに顔を動かす」というシーンが作られる事はありませんでした。そういう意味で、このテスト映像は非常に貴重なものでしょう。

『アルゴ探検隊の大冒険』(1963)の大成功の後、ハリーハウゼンが監督のドン・チャフィに『ほら男爵の冒険』をストップモーションで作りたいと話したところ、この物語が好きだったドン・チャフィはこの企画に賛成し、一緒に作ろうという事になりました。しかし別のプロジェクトにより、結局この企画が実現する事は無かったのです。二人が組んで作る事になった作品は『恐竜100万年』(1966)でした。
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