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人造人間クエスター
2010-11-2 22:47
『スター・トレック』のG・ロッデンベリーが製作総指揮・原案・脚本を手掛けた『人造人間クエスター』(1974)
TVシリーズとして企画されたもののシリーズ化はされなかったため、100分のパイロット版だけが残され、それは日本でも何度かテレビで放送されました。
私がこの作品を見たのは何度目かの再放送と思われますが
これは本当に面白かった! SFテレビ・ムービーとしては最高傑作の一つではないでしょうか。
「プロジェクト・クエスター」のプレートがはられた研究室に横たわる完成目前のアンドロイド・クエスター
このアンドロイドを、科学者たちがプログラミングで起動させようとするで場面で映画はが始まるわけですが、最初の数十分、研究施設のシーンでは、物語の伏線となるいくつかの謎が視聴者に提示されます。
クエスターを製造したバスロビック博士は現在行方不明。なぜ博士は失踪したのか? 生きているならば何処で何をしているのか?
バスロビック博士以外の科学者には、クエスターの構造を理解できない。これほどの知識を持ったバスロビック博士とは何者なのか? また、何の目的でクエスターを製造したのか?
これらの謎で視聴者を引き付けつつ、実験は続き・・・
暗号化されていたクエスター用のプログラムを解読しようとして、データの半分を消失してしまったため、新たなプログラムを試したがクエスターは全く反応せず。仕方なく半分が消失した不完全なデータを使用するものの、実験は失敗。
と、見せかけておいて
その夜、自ら目覚めたアンドロイドは残りの作業を自分で行い研究所から脱走してしまう、という筋書き。
自分が何のために生まれてきたのか、という肝心な部分のデータが欠落していたため、クエスターはバスロビック博士の助手であったロビンソンの協力を仰ぎ、「創造主」である博士を探し「自分に課せられた使命」を遂行するために旅立つ・・・
というよりも、「逃走した」と言ったほうがしっくりきますけど。
謎を追って進められるプロットと、限られた時間内に博士に会わないと秘密厳守のため体内に仕込まれた原子爆弾が起動していまうという二重、三重のサスペンス。
面白い・・・、本当に無駄の無い脚本とといった印象。
そして映画のラスト
クライマックスでは、バスロビック博士の正体と、クエスターが作られた目的とその驚くべき使命が明らかになるのですが・・・
なんでもこの作品、リメイクの話が進行中との事なので、衝撃のラストは一応書かないでおきます。
シリーズ化を前提に作られた作品なので、自分の使命を知ったクエスターとロビンソン博士の探求の旅は今始まったばかりなのだ・・・、みたいな終わり方なのですが、先に書いた通りシリーズ化は見送られてしまいました。
その理由は長くなるので省略
いや、簡潔に
簡単に言うと、作品の基本設定の変更を主張するNBCテレビとロッデンベリーの対立。
これまた、ありがちな理由・・・
NBC側がロビンソン役は要らないと言い出し譲らなかったため、それに納得できなかったロッデンベリーが企画から去ってしまったとの事。
作品を見た者からすると、ロビンソンは不要というNBCの主張が全く理解できないんですけど・・・
さて、最後にこの映画の主役アンドロイド・クエスターですが
『スター・トレック』のファンにとっては、TNGのデータ少佐のモデルとして有名? かと思われます。データ少佐の表情や動作、話し方などは、クエスターの演技を参考にしたのは明らか。
というよりもコピーしていると言ったほうが正解かも。自身がスーパー・コンピューターである点や、女性が望めば男性としての機能も有している、といった設定まで同じ。
TNGでは『人造人間クエスター』で描かれていたのとそっくりな場面がいくつかあります。
まずは、アンドロイドが人間の女と愛し合う場面。
第1シーズン『未知からの誘惑』でデータがターシャと一夜を共にするシーンがそれ。まだ影響力のあったロッデンベリーの計らいでこのシーンが実現したとか。
さらに
第2シーズン『ホテル・ロイヤルの謎』では、カジノでいとも簡単にサイコロの目を操るスーパー計算機ぶりが描かれていて、これまたそっくり!
トレッキー必見の演技を見せるロバート・フォックスワースは『奥さまは魔女』のサマンサ役エリザベス・モンゴメリーの最後の夫。クエスター以外では『新・刑事コロンボ/おもちゃの兵隊』の犯人ブレイリー大佐が印象に残っています。
というわけで
私にとってほぼ完璧な作品である『人造人間クエスター』ですが、強いて不満な点を挙げるとすれば・・・
起動したつるつるのクエスターが、人間の姿になるために自分で耳や鼻、そして口を取り付ける(造形する?)シーン
型のようなものを押し当てジュジューってやると鼻、口、耳の完成。
って、いくらなんでもそれは、ほとんどタイ焼き・・・
これ
まぁ、そんなシーンも作品全体の出来を考えるとたいした問題ではありません。
リメイクが実現すれば、これらのシーンも現在の特撮技術でじっくり見せてくれるでしょう。
ただ
基本設定だけは絶対に変えないでほしい。ド派手なアクション・シーンが挿入されるのは目に見えてますけど・・・
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コメント一覧
投稿者 :
野辺夏夫
もうご存じではないかと思いますが、やっとDVDが出るのですね。
この作品はSFドラマの古典でSFファンの基礎教養みたいなものだろう、と私は決めてかかっていたのですが、考えてみればNHKでの初放映から早や35年・・・! 国内でのソフト化をほとんどあきらめかけていたとはいえ、未見の人に気を遣っていらっしゃるpalladion様にひきかえ、この私ときたら・・・冷や汗が出ます。
(でもリメイクの話は、どこへ行ってしまったのでしょうね?)
そういえば、『ヨコハマ買い出し紀行』のアルファさんが落雷で大火傷して皮膚のコーティングをやり直した時、お医者の先生が「大丈夫 今は下地だからケバだってるのよ」と言う場面は、もしかしてクエスターへのリスペクトなのかな、と思ったことがあります。
2012/06/06 20:53
投稿者 :
パラディオン
そうなんですよ! 昨日の夜に初めて知りました。allcinemaのトップページの広告を見た時は嬉しかったです。
未見の人に気を遣ったのは、たまたまリメイクが進行していたからで、私のブログはほとんどネタばれ全開ですから・・・
2012/06/06 21:10
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(でもリメイクの話は、どこへ行ってしまったのでしょうね?)
そういえば、『ヨコハマ買い出し紀行』のアルファさんが落雷で大火傷して皮膚のコーティングをやり直した時、お医者の先生が「大丈夫 今は下地だからケバだってるのよ」と言う場面は、もしかしてクエスターへのリスペクトなのかな、と思ったことがあります。